映画『生理ちゃん』の打ち上げで4時間飲んでもしっかりした足取り
●透明な器
振り幅の広さとも通じますが、「自分へのこだわりのなさ」「自分に対する距離感」も特筆すべき点でしょう。どんな奇妙な世界にも飛び込んでいけるし、どんな役も成り立たせてしまう。映画『脳男』で眉毛を剃った連続爆弾魔になり、『私の男』では育ての父と男女関係に堕ちていく少女のような遊女のような存在に。『蜜のあわれ』では老作家を翻弄する赤い金魚に。かと思えば、大反響を呼んだ埼玉県自虐ギャグ映画『翔んで埼玉』で金髪おかっぱ姿の壇ノ浦百美という男役を演じ切ったり。先生から娼婦、殺人犯まで演じられるのは、透明な器だからではないでしょうか。
●孤独を知っている
「友達がひとりもいなかった」と過去を語る。社交的な性格ではなかったそうで「みんなと同じ服というよりは、好きな服が着たい」。孤立と孤独を知っている、だから強い。自分の足でしっかりと立ち、何にも頼らない芯がある。
●過去から多くを学んでいる
憧れの俳優を聞かれてブリジット・バルドーや高峰秀子の名前が出てくるあたり、過去作からたくさんのことを学んでいそう。愛読書は室生犀星にハイデガー。役者はすべてが芸の肥やしになる職業です。自分について「ルックスは普通ですよ。芝居に関しては誰にも負けない自信があります」と語る理由もそのあたりにありそう。
大河ドラマで西郷役の鈴木亮平さんから「感性の化け物」と称賛された二階堂さん。実に言い得て妙です。今回、朝ドラといういわば保守本流の本陣の中で、その「感性の化け物」がいったいどれくらい破壊的創造をしてくれるのか。二階堂さんの感性を通してスタンダードナンバーの朝ドラがどう変わっていくのか、今後が楽しみです。