芸能

朝ドラでも爪痕を残す二階堂ふみ 「感性の化け物」の魅力

抜群の演技力を見せる

抜群の演技力を見せる

 若手の中ではオファーが引きも切らない役者の一人である。朝ドラに舞台を移しても「爪痕」をしっかり残しつつある二階堂ふみ(25)について、作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が分析した。

 * * *
 NHK朝ドラ『エール』は、滑り出し頃の子ども時代の描写に比べてずいぶんとコメディタッチが目立つ展開になっています。これを「朝から騒々しい」と避ける視聴者もいるもようですが、単純にそうとも言い切れない。このストレスフルな状況下で、しばしの間、明るいドタバタ喜劇を楽しむことは精神衛生上良い作用があるかもしれません。

 ただし、本当の笑いを生むためには、何よりも役者陣の頑張りと才能が問われる。演じる側に少しでも躊躇や迷い、余計な自意識(面白いだろう、という押し付け)があったりすると、視聴者はそれを鋭く感じとり、白けてしまう。それこそナンセンスな振る舞いを、平静な顔で平気の平左でやり切らないと、笑いは湧いてこないはずです。

『エール』の出演者を眺めると……男性陣もものすごく頑張っていますが、私が今押したいのは薬師丸ひろ子さんと二階堂ふみさんの母と娘。薬師丸さんの役者としての素晴らしさは前のコラムでも触れましたが、先週注目したのが裕一の妻・関内音役の二階堂ふみさんの存在感です。

 怒鳴ってもがなっても、どんなにオーバーアクションをしても「絵になる」。「さまになる」役者だと痛感させられました。二階堂さんの、誰にも似ていない不思議な魅力。その力の根源とは、いったいどこにあるのでしょうか? 

●思い切った振り幅

 十代でファッションモデルとしてデビューした二階堂さん。凄いのは、25才という若さに似合わずNHK大河ドラマ『平清盛』『軍師官兵衛』『西郷どん』とすでに三本も出演していること。そこで王道の「保守正統派」を歩むのかと思えば、いやいや。ものすごく守備範囲が広いのも、この役者の特徴でしょう。

 民放ドラマにも多数出演し記憶に残る演技はいくつもあります。例えば『Woman』(2013年日本テレビ)では満島ひかりの義理の妹・栞を演じ、その情緒不安定ぶりがすごい迫力で視聴者をびっくりさせました。あのとき名前を記憶に刻んだ人も多かったはず。かと思えば、『この世界の片隅に』(2018年TBS)では薄幸の遊女・白木リンをしっとりと悲しく浮き上がらせてみたり。ドラマだけではありません。バラエティにもレギュラー出演。『ゴチになります』に出た動機を「知名度を上げたくて」と語る。その振り幅の広さ、すさまじさすら感じさせてくれます。

関連記事

トピックス

11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(右/読者提供)
【足立区11人死傷】「ドーンという音で3メートル吹き飛んだ」“ブレーキ痕なき事故”の生々しい目撃談、28歳被害女性は「とても、とても親切な人だった」と同居人語る
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《中国とASEAN諸国との関係に楔を打つ第一歩》愛子さま、初の海外公務「ラオス訪問」に秘められていた外交戦略
週刊ポスト
グラビア界の「きれいなお姉さん」として確固たる地位を固めた斉藤里奈
「グラビアに抵抗あり」でも初挑戦で「現場の熱量に驚愕」 元ミスマガ・斉藤里奈が努力でつかんだ「声のお仕事」
NEWSポストセブン
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン
日本体育大学は2026年正月2日・3日に78年連続78回目の箱根駅伝を走る(写真は2025年正月の復路ゴール。撮影/黒石あみ<小学館>)
箱根駅伝「78年連続」本戦出場を決めた日体大の“黄金期”を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈1〉「ちくしょう」と思った8区の区間記録は15年間破られなかった
週刊ポスト
「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
地元コーヒーイベントで伊東市前市長・田久保真紀氏は何をしていたのか(時事通信フォト)
《シークレットゲストとして登場》伊東市前市長・田久保真紀氏、市長選出馬表明直後に地元コーヒーイベントで「田久保まきオリジナルブレンド」を“手売り”の思惑
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
26日午後、香港の高層集合住宅で火災が発生した(時事通信フォト)
《日本のタワマンは大丈夫か?》香港・高層マンション大規模火災で80人超が死亡、住民からあがっていた「タバコの不始末」懸念する声【日本での発生リスクを専門家が解説】
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
NEWSポストセブン