トランプ大統領がこれにこだわる背景には、中国の報道官が「米軍が武漢に持ち込んだ」と主張したことに激怒している、米国での感染拡大の責任を中国に押しつけようとしているなどさまざまな憶測があるが、もう一つ事情があるという。
「トランプ大統領は1年前、中国IT大手ファーウェイの通信機器を『不正スパイウェア』だと告発しましたが、結局証拠は出ず、ヨーロッパでは再びファーウェイを採用する国が現われてきた。それが不満で、リベンジ戦の意識があるのではないか。
一方の中国は、ファーウェイ幹部が私の取材に『ないものをないと証明するのは難しい』と語っていましたが、いまや中国全体が『あのときと同じ言いがかりじゃないか』と、対米感情が悪化しています」(同前)
もはや引くに引けない両国。世界の安定のためには、外交自粛で両国トップが顔を合わせられない状況が続いたほうがいいのかもしれない。
※週刊ポスト2020年5月22・29日号