コロナ騒動を受けた中止や今後に向けた様々な決定に、協賛企業側や自治体は基本的に関与していない。しかし、東京五輪などスポーツイベントの開催と社会との関係に詳しい、神戸大学大学院国際文化学研究科の小笠原博毅教授はこう語る。
「スポーツ選手育成や走ることが地域の伝統になっているといった開催理由があれば別ですが、市民マラソンの人気に乗じて開催されているだけの大会は、今後淘汰されていくのではないでしょうか。これまでは、“開催すれば感動が生まれる”といった抽象的な掛け声で大会を開き税金も投入されてきましたが、そういったモデルは今後通用しなくなると思います」
今年秋に開催予定だったいくつかの人気マラソン大会は、すでに中止を発表した。いまは自宅の周囲で「3密」を避けて走っている人たちも、しばらく大会で走れなければ、「ランニング離れ」が懸念される。これまで「ブーム」に沸いてきた市民マラソンは、今後も悠々と人気イベントの地位を保てるわけではなさそうだ。