相撲協会の対応は適切だったのか(時事通信フォト)
感染予防の観点から取材が制限されるなか、メディアも協会の発表内容をそのまま報じるものがほとんど。そうしたなか、例外だったのが〈高田川部屋クラスターか〉と報じたスポニチ(4月26日付)だった。
「複数の関係者の情報として、最初に感染がわかった幕下力士と、その後に判明したうち2人以上が高田川部屋と報じた。記事では力士1人がICUに入っているとの情報にも触れている。専属解説者の親方の身の周りの世話をする高田川部屋の元力士がいて、その筋からの情報があったから踏み込めたのだろう。それにしても、クラスター化問題を抜いたのが、高田川親方と犬猿の仲の貴乃花親方が長く専属評論家を務めたスポニチというところも因縁深い」(同前)
だが、報道を受けても、協会は否定も肯定もせず、他のメディアは親方と関取以外の感染者がどの部屋の所属なのか、明言しない状態が続いている。
◆高田川部屋前の張り紙
クラスターが発生した場所を公表するかは、議論の対象となる問題だ。大阪のライブハウスでクラスターが発生した際は、事業者が店舗名の公表に応じ、感染の疑いがある人を追跡できた。ただ、感染拡大防止に資する一方、事業への影響があるため、千葉市のように、クラスター発生時に施設名公表に応じた事業者には協力金を支給するなどのケースもある。
一方、相撲協会は公益財団法人として、税制優遇も受けている団体だ。どういった情報公開の姿勢が求められるのか。公益法人のガバナンスに詳しい中島隆信・慶応大学商学部教授が指摘する。