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「コロナ自警団」と高齢者クレーマーに共通した特徴とは

パチンコは自粛警察から目の敵にされた(時事通信フォト)

パチンコ客も目の敵にされた(時事通信フォト)

 リアルで子どもを怒鳴りつけたり、役所へ苦情を入れたりしている人たちは、最近、増えてきていると話題の高齢者クレーマーと共通した特徴を持つ。高齢者クレーマーには定年退職した管理職が多いと言われているが、怒りの矛先を遊ぶ子どもたちへ向ける大人には中高年以上の年代が目立つし、自分の意見は無条件で受け入れられて当然だという態度も見せている。

 もちろん、若者でも自警団に加わっている人もいるだろう。だが、ネットでもリアルでも、どうやらその主力は中高年以上の年代であるようだ。

 彼らは、仕事でも経験と実績を積んで、社会的に認められた人たちだ。だから状況判断にも自信があるし、社会的な事柄への関心も高いという自負が強い。新型コロナウイルスについてもニュースやネットを利用して情報収集している。そのため「自分は正しい」という思いが確信に変わりやすい。そして、自分は正しいから、悪い人は攻撃してもいいととらえてしまう。正義感で行動しているから容赦がなく、たとえそれが法律に照らすとグレーなものでも、感染を拡大させないための正しい行動と信じて行動している人が少なくない。

 そして、新型コロナウイルスへの怖れが人一倍、強い人たちであるとも言えるのではないか。このウイルスの特徴として、高齢になるほど劇症化しやすいという点がある。自分と年齢が近い有名人の訃報に接すると普通の葬式もあげられない伝染病への恐怖が大きくなり、過剰に「正義」を貫かねばという気持ちにさせることだろう。

 だからといって、自警団として振る舞ってもよいという理屈にはならない。今はすべての人が何らかの我慢を強いられている状態だ。他人に対する許容量が極端に少なくなっている故に、少しでも「正義」に従わない人が許せず、他人を攻撃することで鬱憤を晴らしている面もあるだろう。

 気がかりなのは、もともと実数としては少ないはずの自警団に加わる人たちが、ネット炎上のように世の中全体へ影響を及ぼしてしまうことだ。自粛なので正確には禁止ではないのだが、ネットとリアルと双方で好き放題に警告活動を繰り広げた結果、騒ぎを起こしたくないという同調圧力により、その勝手な正義のルールからはみ出している人や店などを、本当に許せなくなる風潮が生まれることだ。

 感染の心配や収入減の不安の中、多く人は頑張っている。その甲斐あって徐々に感染者数も減少し、一部では休業が解除された地域もある。感染者は感染しただけであり、悪いのはウイルスだ。誰かを攻撃しても事態が好転するわけではない。感染の疑いをかけられるだけでも不利益をこうむる、孤立させられるような状態になっては、本当に感染の疑いがあっても申し出ないことを選択する人が増えてしまう。そうなると、感染拡大を抑えることが難しくなる。それでは、本来、求められていた自粛の目的から離れるばかりだ。あと少し、緊急事態宣言が終了するまで、みんなで協力して乗り切るべきではないだろうか。

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