ライフ

「コロナ自警団」と高齢者クレーマーに共通した特徴とは

公園にランナーの姿も増えた(時事通信フォト)

公園にランナーの姿も増えた(時事通信フォト)

 攻撃の対象は、店舗だけにとどまらない。「自粛要請が出ているのに公園で子どもが遊んでいる。子どもがマスクをしないでうろうろしていいのか。通報しても対応してくれない」という怒りの投稿も見かけた。しかし密集を避けて公園で遊ぶことは悪いことではないし、マスクをしないだけでは通報対象とはならない。

「なんで子どもが外で遊んでいるんだ! この、コロナバイキン!」と、知らないおばあさんから怒鳴りつけられたという子どもの話を聞いた。このような話は多く、「知らないおじさんやおばさんに叱られるからもう外に出たくない」と言っている小学生もいるほどだ。

 公園の遊具に黄色いテープなどが巻かれて利用できないようになっている地域もあり、子どもの存在が許容されていないことを感じる。

◆感染者の個人情報特定をする人たち

 報道を受けての犯人探しも続いている。味覚・嗅覚に異常を感じながらGW中に山梨県の実家に帰省し、陽性と判明した後に高速バスで帰京した東京在住の20代女性に対するインターネット上の反応はかなり厳しいものだ。

 自粛期間中の帰省、しかも県内の20代の男性に感染させた上、陽性がわかった後に帰京という条件が重なり、女性へのバッシングは広がってしまった。女性が誰なのかを特定したという情報はインターネット上にあふれ、女性の勤務先とされた会社がホームページで風評被害として否定することになった。昨年、あおり運転傷害事件で逮捕された人物の関係者だとネットで決めつけられた女性が、SNSで該当の発信をした人たちを相手に名誉毀損で訴えたことは記憶に新しい。それより前、神奈川県で2017年に起きた東名あおり運転事故では、2020年4月になって、被告の男の勤務先についてネット上に誤った情報を投稿した1人が起訴、5人が略式起訴され罰金刑がくだされている。新型コロナウイルスについても、同じ事が繰り返されているのだ。

 ましてや今回は、行動に少々軽率な点こそ見られたが、女性はウイルスに感染しただけで、予期せぬ事故のようなものに遭っただけの不運な人だ。彼女の個人情報だとされるものが流布されるいわれはない。これに対しては、山梨県が重大な人権侵害ととらえ、ネット上にプライバシーを脅かす情報が流れていないか調べ、犯罪性があれば警察に情報提供し、弁護士と協力して人権救済を支援することを検討するとしている。

 感染者が罪人のように扱われる例は、これだけではない。大学生が海外旅行に行って感染し、帰国後に卒業式や懇親会に参加していた例でも同様に批判が殺到し、やはり個人情報が特定され、さらされてしまった。感染後の行動が不注意であっても、それだけで他人の個人情報をさらし者にしたり、ネット上で誹謗中傷してもいいのだろうか。

◆正義感や同調圧力による攻撃行動

 新型コロナウイルスに関しても様々なネット炎上が起きているが、炎上とはネットユーザーの1%にも満たない人によって起きているという山口真一・国際大学GLOCOM准教授による調査結果がある。そして、炎上を起こしている人たちの多くは、無職で時間が余っている若者などではなく、年収が高めの既婚男性が多いと分析されている。

関連記事

トピックス

高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
阿部なつき(C)Go Nagai/Dynamic Planning‐DMM
“令和の峰不二子”こと9頭身グラドル・阿部なつき「リアル・キューティーハニー」に挑戦の心境語る 「明るくて素直でポジティブなところと、お尻が小さめなところが似てるかも」
週刊ポスト
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン