盟友・指原莉乃(前列右)の卒業コンサートに登場した北原里英(同左)(時事通信フォト)
2018年4月のグループ卒業後は、同年12月に発生した事件(NGT48メンバーの一人が男らに自宅で襲われた)の際に、被害に遭ったメンバーをかばう主旨のツイートを発信するなど、元キャプテンらしい存在感を示した。
『ゼロからでも始められるアイドル運営』(共著、コア新書)などの著書を持ち、アイドルを専門分野のひとつとするフリーライターの大坪ケムタ氏は、北原をこのように分析する。
「北原里英さんのAKB48時代のエピソードで有名なのが、若手時代に同じ地方出身者である指原莉乃、大家志津香と共同生活をおくっていたこと。ふたりともバラエティで成功していますし、当時から皆で『前田敦子や大島優子というトップメンバーがいる中で、グループでどう生き残るか?』を相当考えていたはず。その後、劇場やテレビ番組でのMC、NGT48の初代キャプテンなどを任されたことを考えても、北原さんに対するメンバーやスタッフの信頼の厚さがわかります」
大坪氏は、北原に取材した経験もある。
「以前インタビューした時はMC論についてうかがったんですが、『総選挙のスピーチは皆泣いちゃうから、絵変わりするように笑顔でしゃべることを心がけています』『バラエティでは年上メンバーをおばさん扱いしてウケを取るような笑いもあるけど、NGT48のメンバーには人を落とす喋りはしてほしくない』など、周りに対する気遣いと想像力の高さを感じさせました。そうした部分が役者になっても生きているのだと思います」
厳しい競争が求められる48グループにおいて、北原の性格はマイナスに働く部分もあったかもしれない。しかし、ドラマや舞台の現場は、スーパースターばかりを集めていては回らない。周囲を立てる北原の姿勢は、いち女優として活動する今、むしろ大きな武器に変わったようだ。
●取材・文/原田美紗(HEW)