国内

夜の歓楽街、このままでは「コロナ隠し」発生を驚けない

歓楽街は表向きには閑散としている(時事通信フォト)

歓楽街に生きる人々の本音は(時事通信フォト)

 緊急事態宣言の延長が発表されたとき、安倍晋三首相は会見の締めくくりで「みんなで前を向いて頑張れば、きっと現在のこの困難も乗り越えることができる。国民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げます」と呼びかけた。この発言に対し、そんなことでウイルスに対抗できるかと呆れる人たちがいる。ライターの森鷹久氏が、見放されている自分たちは、勝手にやるしかないと営業を続ける接客業の世界の本音と「コロナ隠し」についてレポートする。

 * * *
「休業要請とか補償金とか、そういうのは全部”オモテ”の人たちの話でしょう? 僕らは“分断”された世界に住んでいるので、関係ありませんよ」

 4月下旬、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために各自治体が出した「休業要請」に従う飲食店が多い中、都内のキャバクラ店経営・大場寛也さん(仮名・30代)は、筆者の取材にこう言ってのけた。

「だいたい、国や都のいうことを聞いていたら、まともに商売もできません。以前は朝までやれていた営業も、深夜一時をすぎると取り締まられるようにもなりましたよね? 水商売だから、毎月毎年、安定して売り上げが見込める業種ではないのに、税金は他の業種と同じようにがっぽり取られるし締め付けもすごい。はっきり言って、法律をいちいち守っていたら、商売も生活も成り立たないんですよ」(大場さん)

 大場さんの店では、日本国内でも新型コロナウイルスの感染が拡がった今年2月ごろから現在まで、元々の定休日を除き、休業は一切行っていない。3月の終わりに、隣接地域のクラブ店で「クラスター」が発生した際には、店で働く女性従業員が怖がったこともあり、1日だけ店を閉めたが、それ以外はいつもと変わらず、時短営業すら行わず営業を続けている。感染者が出たらどうするのか、身勝手とは思わないのか、筆者の問いには全く悪びれる様子もない。

「だから、休業協力金も、従業員への手当てもいりません。全部自分たちでやる。うちなんかはマシな方でしょう、税金はしっかり払ってるんで。この業界、税金もしっかり払っていないところが多いんです。彼らも、国や都に助けてもらおうなんて思っていない。だから営業してる店が多いんです」(大場さん)

 千葉県内のバー経営者も、全く同じような論調で、営業の自粛をしない自身のスタンスを正当化する。

「助成金一つもらうにしても、直近の売り上げから半分以上下がっていないとダメとか、仕組みがいちいちややこしい。2月や3月なんか、すでにコロナの影響で落ち込んでいるんですけど、そこから半分以上落ちるということは、もう首をくくっているレベルなんですよ。国も県も市もあてにならないから、4月の中頃から店を開けています。まともにやろうとしてもできないから、結局裏でこっそりやるしかないし、そうしないと本当に死んでしまう。評判とか、そういうのはもう考える余裕もないんです」(バー経営者)

 同じく千葉県内の風俗店経営・内田望さん(仮名・40代)も、一時期は休業に踏み切ったが、助成金や休業補償金があまりにも低く、いつ給付されるのかもわからないといった現状にしびれを切らし、営業を再開した。

「実は近くの同業店でコロナウイルスの感染者が出たんです。流石にまずいということで、付近の店は一斉に休業に入りました。風俗店にも休業協力金が支払われるとの報道もあり、それなら、と思ったんです。でも蓋を開けてみると、補償額は数十万だし、手続きも煩雑。従業員へ、手当を出すこともできない。休業しようにも一ヶ月分の生活費も捻出できないということで、近隣店舗も一斉に営業を再開しました。犯罪者だとかヤクザだとか、クレームの電話も来ます」(内田さん)

関連記事

トピックス

真美子さんが信頼を寄せる大谷翔平の代理人・ネズ・バレロ氏(時事通信)
《“訴訟でモヤモヤ”の真美子さん》スゴ腕代理人・バレロ氏に寄せる“全幅の信頼”「スイートルームにも家族で同伴」【大谷翔平のハワイ別荘訴訟騒動】
NEWSポストセブン
国内統計史上最高気温となる41.8度を観測した群馬県伊勢崎市。写真は42度を示す伊勢崎駅前の温度計。8月5日(時事通信フォト)
《猛暑を喜ぶ人たちと嘆く人たち》「観測史上最高気温」の地では観光客増加への期待 ”お年寄りの原宿”では衣料品店が頭を抱える、立地により”格差”が出ているショッピングモールも
NEWSポストセブン
中居正広氏の騒動はどこに帰着するのか
《中居正広氏のトラブル事案はなぜ刑事事件にならないのか》示談内容に「刑事告訴しない」条項が盛り込まれている可能性も 示談破棄なら状況変化も
週刊ポスト
離婚を発表した加藤ローサと松井大輔(右/Instagramより)
「ママがやってよ」が嫌いな言葉…加藤ローサ(40)、夫・松井大輔氏(44)に尽くし続けた背景に母が伝えていた“人生失敗の3大要素”
NEWSポストセブン
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
【観光客が熊に餌を…】羅臼岳クマ事故でべテランハンターが指摘する“過酷すぎる駆除活動”「日当8000円、労災もなし、人のためでも限界」
NEWSポストセブン
2013年に音楽ユニット「girl next door」の千紗と結婚した結婚した北島康介
《金メダリスト・北島康介に不倫報道》「店内でも暗黙のウワサに…」 “小芝風花似”ホステスと逢瀬を重ねた“銀座の高級老舗クラブ”の正体「超一流が集まるお堅い店」
NEWSポストセブン
二階堂ふみとメイプル超合金・カズレーザーが結婚
二階堂ふみ&カズレーザーは“推し婚”ではなく“押し婚”、山田美保子さんが分析 沖縄県出身女性芸能人との共通点も
女性セブン
山下美夢有(左)の弟・勝将は昨年の男子プロテストを通過
《山下美夢有が全英女子オープンで初優勝》弟・勝将は男子ゴルフ界のホープで “姉以上”の期待度 「身長162cmと小柄だが海外勢にもパワー負けしていない」の評価
週刊ポスト
夏レジャーを普通に楽しんでほしいのが地域住民の願い(イメージ)
《各地の海辺が”行為”のための出会いの場に》近隣住民「男性同士で雑木林を分け行って…」 「本当に困ってんの、こっちは」ドローンで盗撮しようとする悪趣味な人たちも出現
NEWSポストセブン
2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《北島康介に不倫報道》元ガルネク・千紗、直近は「マスク姿で元気がなさそう…」スイミングスクールの保護者が目撃
NEWSポストセブン
娘たちとの関係に悩まれる紀子さま(2025年6月、東京・港区。撮影/JMPA)
《眞子さんは出席拒否の見込み》紀子さま、悠仁さま成年式を控えて深まる憂慮 寄り添い合う雅子さまと愛子さまの姿に“焦り”が募る状況、“30度”への違和感指摘する声も
女性セブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者が逮捕された
「ローションに溶かして…」レーサム元会長が法廷で語った“薬物漬けパーティー”のきっかけ「ホテルに呼んだ女性に勧められた」【懲役2年、執行猶予4年】
NEWSポストセブン