ライフ

いま子供が読むべき本 児童文学評論家・赤木かん子氏が選ぶ

読書が子供たちを成長させる(写真:武藤義/アフロ)

 新型コロナウイルスの感染拡大により休校となった学校再開に向けて動き出した地域もあるが、予断を許さない状況に変わりはなく、都市部では休校が続いている。

 しかし、“おうち時間”こそが、読書によって多くの学びを得る絶好の機会でもあるはず。思い出してほしい。子供の頃、時間を忘れて朝まで本を読みふけったときのことを。本で知ったことをすぐ誰かに話したくて、自分もやってみたくって、将来の夢につながったりもした。“学ぶ”とは、机上で筆を走らせることだけではないはず──。

 そこで、いまこそ子供に読んでほしい本の選び方を、児童文学評論家の赤木かん子さんに聞いた。

【プロフィール】
児童文学評論家 赤木かん子/作家、子どもの本研究家。学校の図書館プロデューサーとしても全国で活躍。

◆好きな本の“繰り返し読み”が理解を深める

 子供には、特有の本の読み方があると話す赤木さん。

「“優れた本”を選んで読ませるのはおすすめしません。本人が読みたいと思ったものを読ませてあげて。“つまらない”を知らないと、“面白い”もわかりません。一見、無駄に思えることが必要なことなのです。子供は、時間がたっぷりあるのですから」(赤木さん・以下同)

 赤木さんのもとには、「子供が同じ本ばかり読む」という相談がよく寄せられるそうだが、それも問題ないという。

「むしろそれは、とてもいいことです。音楽でも気に入った曲は何度も聴きたくなるし、聴くたびに理解が深まります。本も同じで、2度、3度と読むたびに新しい発見や喜びがあり、細部まで理解が深まります。繰り返し読むのは読解力を身につける最上のやり方の1つなんです」

 また、0才から小学校低学年におすすめなのは図鑑だ。

「9才までは脳を耕す時期。1冊の本を読むためには、その本にある8割の言葉をすでに知っていないと歯が立ちません。ですから、多くの単語を習得できる絵や写真がたくさんある図鑑がいい。そして図鑑を読むうちに、子供はたくさんの言葉と知識を吸収する。その過程が大事です。

 それと、小学生になっても読み聞かせはしてあげてください。自分で読むよりもレベルが上の本が読めるからです」

 赤木さんのおすすめは、『地球博物学大図鑑』。1万円超と高額だが、アメリカにある世界最大規模のスミソニアン国立自然史博物館の開館100周年記念出版本で、収録物にお気に入りが見つかる、一生ものと太鼓判。『元素図鑑 宇宙は92この元素でできている』は科学が苦手な子供にもわかりやすい文章で、実験コラムは自由研究向きという。

◆中学年は社会性を学ぶ 高学年は長編や漫画を

「中学年になると感情を司る前頭葉が発達し、女の子はロマンスや友情もの、男の子は戦国ものといった、社会性のあるものに興味が移ります」

 小学校高学年から中学生には、漫画作品もおすすめだ。

児童文学評論家の赤木かん子さん

あわせて読みたい

関連記事

トピックス

虐待があった田川市・松原保育園
《保育士10人が幼児を虐待》「麗奈は家で毎日泣いてた。追い詰められて…」逮捕された女性保育士(25)の夫が訴えた“園の職場環境”「ベテランがみんな辞めて頼れる人がおらんくなった」【福岡県田川市】
NEWSポストセブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(画像は日本のアスレジャーブランド、RUELLEのInstagramより)
《ぴったりレギンスで街歩き》外国人旅行者の“アスレジャー”ファッションに注意喚起〈多くの国では日常着として定着しているが、日本はそうではない〉
NEWSポストセブン
亡くなったアンナ・ケプラーさん(TikTokより)
巨大クルーズ船で米・チアリーダー(18)が“謎の死”「首を絞められたような2つのアザ」「FBIが捜査状況を明かさず…」《元恋人が証言した“事件の予兆”》
NEWSポストセブン
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
NEWSポストセブン
アスレジャースタイルで渋谷を歩く女性に街頭インタビュー(左はGettyImages、右はインタビューに応じた現役女子大生のユウコさん提供)
「同級生に笑われたこともある」現役女子大生(19)が「全身レギンス姿」で大学に通う理由…「海外ではだらしないとされる体型でも隠すことはない」日本に「アスレジャー」は定着するのか【海外で議論も】
NEWSポストセブン
中山美穂さんが亡くなってから1周忌が経とうとしている
《逝去から1年…いまだに叶わない墓参り》中山美穂さんが苦手にしていた意外な仕事「収録後に泣いて落ち込んでいました…」元事務所社長が明かした素顔
NEWSポストセブン
決定戦で横綱を下した安青錦(写真/JMPA)
【最速大関・安青錦の素顔】ウクライナを離れて3年、なぜ強くなれたのか? 来日に尽力した恩人は「日本人的でシャイなところがあって、真面目で相撲が大好き」、周囲へ感謝を忘れない心構え
週刊ポスト
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)(Instagramより)
《俺のカラダにサインして!》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)のバスが若い男性グループから襲撃被害、本人不在でも“警備員追加”の大混乱に
NEWSポストセブン
主演映画『TOKYOタクシー』が公開中の木村拓哉
《映画『TOKYOタクシー』も話題》“キムタク”という矜持とともにさらなる高みを目指して歩み続ける木村拓哉が見せた“進化する大人”の姿
女性セブン
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏の人気座談会(撮影/山崎力夫)
【江本孟紀・中畑清・達川光男座談会1】阪神・日本シリーズ敗退の原因を分析 「2戦目の先発起用が勝敗を分けた」 中畑氏は絶不調だった大山悠輔に厳しい一言
週刊ポスト
CM露出ランキングで初の1位に輝いた今田美桜(時事通信フォト)
《企業の資料を読み込んで現場に…》今田美桜が綾瀬はるかを抑えて2025年「CM露出タレントランキング」1位に輝いた理由
NEWSポストセブン
亡くなったテスタドさん。現場には花が手向けられていた(本人SNSより)
《足立区11人死傷》「2~3年前にSUVでブロック塀に衝突」証言も…容疑者はなぜ免許を持っていた? 弁護士が解説する「『運転できる能力』と『刑事責任能力』は別物」
NEWSポストセブン