◆東大と連携し「培養ステーキ」開発へ

 日清食品は他社の一歩先を行こうと、食卓に欠かせない肉を研究室で培養する取り組みに参画した。

「家畜の飼育だけに頼っていられない時代がくる」との先々の読みがある。食肉の生産で生じる温暖化ガスを減らし、森林の保全にもつなげるという遠大な構想である。培養肉は牛や豚などの細胞を培養して育てる。研究室のような安全な環境で作成できるため、将来的には家畜から人間にうつるような新型感染症を防げるようにもなる。

 日清食品は研究チームが2017年初めに、東大の竹内昌治教授の研究室を訪れ、「一緒に培養肉をつくらせてもらえませんか」と申し入れたのが発端だ。日清食品から女性の若手研究者が東大に派遣され、二人三脚の研究が始まっている。

 100グラムのステーキをつくるのが当面の目標で、2025年ごろには培養ステーキ肉が世に出てくるかもしれないといわれている。

 70億人を超えた世界の人口は、今も爆発的に増え続けている。新興国の所得水準が上がれば肉の消費が増え、牛や豚の肉が足りなくなる恐れがある。培養肉が地球を救うかもしれないのだ。実用化された暁に日清食品はこの肉をどう使うのだろうか。夢のある研究であることは間違いない。

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