NHKテレビ小説『まんぷく』のモデルにもなった日清食品の創業者・安藤百福氏(AFP=時事通信フォト)

NHKテレビ小説『まんぷく』のモデルにもなった日清食品の創業者・安藤百福氏(AFP=時事通信フォト)

◆「カップヌードルをぶっ潰せ!」

 チャレンジ精神に溢れた日清食品の社風を知るうえでも、ここで同社の歴史を少し振り返ってみたい。

 日清食品グループは親子が経営トップに就く。持ち株会社、日清食品HDの社長兼最高経営責任者(CEO)は安藤宏基氏(72)、日清食品HDの副社長兼最高経営執行責任者(COO)で事業会社日清食品の社長は長男の安藤徳隆氏(42)だ。

 宏基氏は1985年、37歳の若さで日清食品の社長に就任した。宏基氏はマーケディング部長時代に、なぜ日清食品は新製品の割合が低いのかを不思議に思って調べてみたことがある。すると主力の「カップヌードル」や「チキンラーメン」の利益を優先するあまり、新製品の開発が進んでいないことが分かった。

 新製品を開発して売り上げが伸びても、共食いになる。「カップヌードル」や「チキンラーメン」の売り上げが減れば、利益が減るので積極的に新製品を開発してこなかったのだ。そこで、社長になった宏基氏は“打倒カップヌードル”をスローガンに社内の活性化を図る。ブランド・マネージャー制度による競争原理を導入し、大胆な社内改革を行ったのである。

 社員への訓示の時に勢い余って「カップヌードルをぶっ潰せ!」と言ってしまったため、創業者で父の安藤百福(ももふく)氏を激怒させたこともある。百福氏は2018年のNHKテレビ小説『まんぷく』のモデルになった立志伝中の人物だ。百福氏はマーケティングを信用していなかったから、宏基氏の経営方針が気に入らず、仕事のことで度々対立。百福氏が亡くなるまで口論は続いたという。

 宏基氏の長男、徳隆氏は2015年4月、日清食品の社長の椅子に座った。徳隆氏も父親に負けず劣らず「会社ごとぶっ潰すような挑戦」に取り組む。

〈これまでは『カップヌードルをぶっつぶせ!』を合言葉にやってきたが、インスタントラーメンを陳腐化するくらいの新しいアイデアがないと生き残っていけない〉(「日経クロストレンド」2019年9月25日付)

 という危機感が底流にある。2019年10月、食のイノベーションにチャレンジする社内組織「Nissin Innovation Lab.」を設立した。技術やブランド、マーケティングなど日清食品グループが持つリソースを積極的に活用して新規ビジネスをいくつもスタートさせ、うまくいったものは事業会社化していくというインキュベーターだ。新事業の第1弾がラーメン店事業への進出。そして第2弾が培養肉の開発である。

関連キーワード

関連記事

トピックス

日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《本誌スクープで年内活動辞退》「未成年アイドルを深夜自宅呼び出し」SKY-HIは「猛省しております」と回答していた【各テレビ局も検証を求める声】
NEWSポストセブン
12月3日期間限定のスケートパークでオープニングセレモニーに登場した本田望結
《むっちりサンタ姿で登場》10キロ減量を報告した本田望結、ピッタリ衣装を着用した後にクリスマスディナーを“絶景レストラン”で堪能
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
笹生優花、原英莉花らを育てたジャンボ尾崎さんが語っていた“成長の鉄則” 「最終目的が大きいほどいいわけでもない」
NEWSポストセブン
実業家の宮崎麗香
《セレブな5児の母・宮崎麗果が1.5億円脱税》「結婚記念日にフェラーリ納車」のインスタ投稿がこっそり削除…「ありのままを発信する責任がある」語っていた“SNSとの向き合い方”
NEWSポストセブン
出席予定だったイベントを次々とキャンセルしている米倉涼子(時事通信フォト)
《米倉涼子が“ガサ入れ”後の沈黙を破る》更新したファンクラブのインスタに“復帰”見込まれる「メッセージ」と「画像」
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん
亡くなったジャンボ尾崎さんが生前語っていた“人生最後に見たい景色” 「オレのことはもういいんだよ…」
NEWSポストセブン
峰竜太(73)(時事通信フォト)
《3か月で長寿番組レギュラー2本が終了》「寂しい」峰竜太、5億円豪邸支えた“恐妻の局回り”「オンエア確認、スタッフの胃袋つかむ差し入れ…」と関係者明かす
NEWSポストセブン
2025年11月には初めての外国公式訪問でラオスに足を運ばれた(JMPA)
《2026年大予測》国内外から高まる「愛子天皇待望論」、女系天皇反対派の急先鋒だった高市首相も実現に向けて「含み」
女性セブン
夫によるサイバーストーキング行為に支配されていた生活を送っていたミカ・ミラーさん(遺族による追悼サイトより)
〈30歳の妻の何も着ていない写真をバラ撒き…〉46歳牧師が「妻へのストーキング行為」で立件 逃げ場のない監視生活の絶望、夫は起訴され裁判へ【米サウスカロライナ】
NEWSポストセブン
シーズンオフを家族で過ごしている大谷翔平(左・時事通信フォト)
《お揃いのグラサンコーデ》大谷翔平と真美子さんがハワイで“ペアルックファミリーデート”、目撃者がSNS投稿「コーヒーを買ってたら…」
NEWSポストセブン
愛子さまのドレスアップ姿が話題に(共同通信社)
《天皇家のクリスマスコーデ》愛子さまがバレエ鑑賞で“圧巻のドレスアップ姿”披露、赤色のリンクコーデに表れた「ご家族のあたたかな絆」
NEWSポストセブン
硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将(写真/AFLO)
《戦後80年特別企画》軍事・歴史のプロ16人が評価した旧日本軍「最高の軍人」ランキング 1位に選出されたのは硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将
週刊ポスト