仙台育英の向坂優太郎投手はスライダーのキレと安定した制球が持ち味(撮影/藤岡雅樹)

「ふた桁背番号の選手たちの進路に大きな影響があります。大学によってスポーツ推薦の受験資格があり、地方大会の成績などに条件がある。コロナによって多くの大会が中止になる中、新たな受験資格が提示されず、待つことしかできない。結局、縁故に頼らざるを得ない状況があります」

 甲子園中止の余波は今秋のプロ野球・ドラフト会議にも及ぶ。プロ野球のシーズンが短縮されることで、例年に比べて戦力外を通告しづらい空気が生まれ、その結果、ドラフト指名選手も少なくなることが予想される。パ・リーグ球団のスカウトが明かす。

「大会の中止が相次いだことで、スカウトが視察できる選手も機会も限られている。指名したいと思ったとしても、こういう社会が不安定な状況ですから、早い段階で大学・社会人に決めた選手もいる。支配下選手は70人という限りがある。ごくひと握りの有力候補を別にすれば、(支配下選手に含まれない)育成枠で高校生を指名する球団が多くなると考えられます」

■取材・文/柳川悠二

※週刊ポスト2020年6月5日号

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