この日、都心の住宅街には、大きなリュックを背負って自転車で颯爽と駆ける手越の姿があった。手越は寄付をし、さらに自分で15個ほどお弁当を配ったという。
「この時代に、幼い子供を抱えたシングルマザーが“お金がないからオムツと夕飯どっちを買おうか”そんな悩みを抱える家庭が世の中にあるんです。それぐらい生活に困窮した人がいることを知った手越さんが共鳴。手越さんは両親が離婚し、母子家庭で育った身。彼は“ぼくはジャニーズに拾われなかったら、この子たちと同じだったかもしれない。自分がお弁当を配ることで元気を与えられないか”という思いがあり、この活動に参加したそうです。これまでプロサッカー選手で、日本代表の小林祐希選手、杉本健勇選手も活動に賛同しに配達員をしています」(プロジェクト関係者)
厚生労働省の調査では、母子家庭は全国に約123万世帯で貧困率は5割を超えるといわれている。OECD(経済協力開発機構)の統計によると、ひとり親家庭で親が働いている場合の貧困率は、日本は54・6%と加盟国で最悪の数字となっている。ちなみに、親が働いていない場合の貧困率は52・5%で、むしろこちらのほうが低い。つまり、働いても貧困から抜け出すことが難しい状況だといえる。
「いま、小学校が休みで給食がないから、昼食を用意するのが経済的に苦しい家庭もあるようなんです。このプロジェクトでは1日、お米を16キロ炊き、お弁当は約200個用意しています。それでも全然足りていない。新型コロナで失業者も増えるでしょうし、ますますひとり親家庭への支援は必要だと考えています」(前出・プロジェクト関係者)
現在、このINGのプロジェクトは手越のように賛同してくれる支援者や企業のサポートを受けているというが、まだ宅配地域を増やせていない状況があり、さらなる支援を求めているという。