パソコン通信は役に立つとともにトラブルもあった。写真は1995年、阪神大震災ボランティア活動(時事通信フォト)

パソコン通信は役に立つとともにトラブルもあった。写真は1995年、阪神大震災ボランティア活動(時事通信フォト)

◆本当はやめたい。時間がもったいない

 ネットの集団心理というのは他愛もないところから始まる。燃やす連中しかり、チューミンさんしかり。

「私もアカウントを作ったんです。しばらくはやっぱり怖くて見てるだけ、やり込められてるところを見てスッキリするだけだったんですけど、ある時とんでもない炎上があって、完全にあの女がボコボコ状態になったんです。これならわからないかなと、思い切ってリプを飛ばしました。もちろん非難の言葉です。そしたらたくさんある中で私にレスを返してきたんですね。その内容は失礼な見下しでしたが、反応があったってことは効いてるってことでしょ。だから。私にレスした!じゃあこれからはコイツに直接文句言えばいいじゃん!と」

 それまで大嫌いでしかなかった有名人から貰った選ばれしリプ返、チューミンさんに「嬉しいと思いました?」と聞くと怒られてしまった。

「そうですか、宣戦布告ですか、ただそれだけです」

 こうしてチューミンさんの生活のほとんどはその嫌いな女性のことばかり考え、その女性を非難することに占められた。そしてついに、ふとした非難のリプにレスを貰い、完全に火がついた。

「朝から晩まであの女の間違ってるところを正したり、生意気なところや頭の悪いところを指摘します。私は普段はそういうの嫌いですが、汚い言葉もわざと使います。あの女は承認欲求のカタマリですから、こっちが黙ってたってツイートを繰り返しますし、ステマと金のためにバカな記事を書き散らしますからネタには尽きません」

 正直、こんな人はSNSにうじゃうじゃいる類であり、悲しいかな珍しくもない。先に触れた2000年代の某匿名掲示板はもちろん、規模は小さいにせよ1990年代前半のパソコン通信にもいた。今では考えられないかもしれないがパソコン通信ではオフ会と称して赤の他人がリアルに集まったりもしたので、BBS(Bulletin Board System、掲示板)によっては地獄の様相だった。そんなことはない、昔のパソコンユーザーはネチケットをしっかり守って健全だったと言う人もいるかもしれないが、思い出の大半は偽りの美しさで飾られるものである。とくに私たち中高年のおじさんは――。

「でもね、私は本当はやめたいんです。あの女がかわいそうとかじゃなくて、時間がもったいないし、仕事とか生活もひどいもんです。さっきも言いましたけど、私はそういう人間じゃないんで」

 チューミンさんは最近、小学校の先生になろうかと考えているそうだ。元々勉強が好きで教えるのも好き、これまで転々とした会社でも教え魔だった。いまのコールセンターでも新人や若い子に頼られているという。また大学時も選択肢のひとつとして教師も考えたが、就職氷河期だったため教員採用試験の応募者が激増、その倍率に躊躇して教職の単位を諦めた経緯もある。幸い、都道府県の教員採用試験の間口は昨今の教員不足から拡がっている。とくに小学校の教師は不足している。通信制大学で教職資格を取得するのも国公立大学卒のチューミンさんならわけもないだろう。何でも年齢で否定する人がいるが、小学校の教師に限れば昔とは比べ物にならないほどに倍率は下がり、社会人枠のおかげで年齢や経歴による選別もゆるくなった。その是非や正規、非正規の問題はあるし中高年の教職志望という特殊性から理解できない人もいるかもしれないが、チューミンさんが小学校教師を目指すことは決して非現実的な話ではない。実際に教員になった例を私も身近に知っているし、アラフォーが小学校教員になったなんてブログは珍しくもない。

関連記事

トピックス

真美子さん(共同通信)が使用していたブランドとは
《ハワイ・ファミリーデートで真美子さんが持っていたプチプラバッグ》「同年代インフルエンサーのアスレジャーブランド」か?と話題に 実用性の高いトートバッグ、大谷は「娘のベビーカー担当」
NEWSポストセブン
アメリカのトランプ大統領と、ベネズエラのマドゥロ大統領(AFP=時事)
《日本への影響も》トランプ政権のベネズエラ攻撃・大統領拘束作戦 中国・ロシアの参戦リスクは 今後の「3つのシナリオ」
NEWSポストセブン
元“ぶりっ子”さとう珠緒の現在の恋愛観は……?
「事実婚じゃダメですか?」「あ、別居婚ならいいのかな」元“ぶりっ子”さとう珠緒(53)が明かす現在の“自分を大切にする恋愛観”とは 
NEWSポストセブン
核保有の是非を“議論”することすら封殺される状況に問題はないのか(時事通信フォト)
《あえて問う「核保有シミュレーション」開発費用と年数》専門家は「日本の潜在的技術能力なら核弾頭開発は可能」と分析 原潜に搭載なら「3兆~5兆円の開発費と年5000億円の維持費」
週刊ポスト
一世を風靡したビートきよしの現在とは
《意識失い2025年に2度の救急搬送》難病で体重22キロ増減のビートきよし、週3回人工透析も…“止められない塩分摂取”「やり残したことなんてない」 
NEWSポストセブン
年末、大谷夫妻はハワイで過ごしていたようだ
《お団子白コーデの真美子さんに合わせたペアルック》大谷翔平の「イジられる」魅力…ハワイではファンに妻と笑顔の対応、後輩も気を遣わない「自信と謙虚さのバランス」
NEWSポストセブン
川島なお美さんを支え続けた、夫でパティシエの鎧塚俊彦氏(2011年10月)
《また恋をしたいとは思っています》パティシエの鎧塚俊彦氏、妻・川島なお美さんを亡くして自問自答の10年「僕らの選択は正しかったのか…」
NEWSポストセブン
引退する棚橋弘至(右)と、棚橋への思いを語る武藤敬司(左)
《棚橋弘至がついに引退へ》「棚橋も俺みたいにハゲていけばよかったんだよ」武藤敬司が語ったかつての付き人に送る“はなむけの言葉”
NEWSポストセブン
餅つきに現れた司忍組長
《六代目山口組の餅つきに密着》近隣住民も驚いた「6時間の“ヨイショ”の掛け声」…高山清司相談役の登場に警察が驚愕したワケ
NEWSポストセブン
店を出て言葉を交わす2人(2025年11月)
《寄り添う夫婦の黒コーデ》今井美樹と布袋寅泰、街中でかかげたキラりと光る指輪に妻の「プライド」高級スーパーでお買い物
NEWSポストセブン
今森茉耶(事務所HPより、現在は削除済み)
《ゴジュウジャー降板女優の今森茉耶》SNS投稿削除で“消息不明”に…母親が明かした複雑な胸中「何度でもやり直せる」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」新春合併号発売! 2026年を見通すオールスター14対談ほか
「週刊ポスト」新春合併号発売! 2026年を見通すオールスター14対談ほか
NEWSポストセブン