実は、高校1年の時に『スター誕生!』(日本テレビ系)の決戦大会で『五番街のマリーへ』を歌おうとしたら、プロデューサーの池田文雄さんに「この歌は8回くらい恋をして失恋してからにしよう」と言われ、曲を変更したんですね。それから4年経ち、20歳で『氷雨』の哀しさを表現することになった。スナック回りで人情の機微を肌で感じた経験が生きたのかもしれません。
1983年3月には、『ザ・ベストテン』(TBS系)で2人の『氷雨』が同時にランクインしました。5年も前から佳山さんが大事に歌ってきたから、この曲に出会えた。感謝しかないです。『紅白』には私だけ出場して、売り上げも賞の数も上だった佳山さんは複雑な気持ちだったと思います。それなのに、数年前に歌番組で一緒になった時、「いつも妹分に頑張ってほしいと応援していた」と仰ってくださり、涙が出そうになりました。
●ひの・みか/1962年、神奈川県生まれ。『スタ誕』で不合格になった時、池田文雄氏に「能力あるから、あきらめちゃダメだよ」と励まされた一言で、今の自分があるという。最新曲『桜の刻(とき)』発売中。
【1982年の出来事】
東北新幹線・上越新幹線開業/500円硬貨発行/ソニーから世界初のCDプレーヤー発売/テレホンカード使用開始/日本航空350便墜落/映画『セーラー服と機関銃』『E.T.』ヒット/『笑っていいとも!』放送開始/「ネクラ」「ルンルン」が流行語に
※週刊ポスト2020年6月12・19日号