だが、2015年度に両者の関係に決定的な転機が訪れた。この年度に国内総生産(GDP)の都道府県版である「県内総生産」で愛知が初めて大阪を抜いて、東京に次ぐナンバー2に躍り出たのだ。大阪在住の経済学者である宮本勝浩・関西大学名誉教授が指摘する。
「この時期はトヨタの純利益が2兆円を超える大盛況で、トヨタに引っ張られて愛知県内の経済が好況でした。一方の大阪は松下電器(パナソニック)やシャープといった家電メーカーが不調に陥って愛知の後塵を拝した。リーディング産業がなくなったことも大阪には痛手でした」
この逆転以降、大阪と名古屋に新たな確執が生まれたと宮本氏が続ける。
「名古屋人に『オレたちこそがナンバー2だ』という意識が芽生えました。名古屋はリニア新幹線も東京と結ばれるし、名古屋空港に拠点を持つ三菱航空機が軌道に乗れば、さらなる躍進が望めます。
『上り調子のオレたちは大阪より上だ』という勝利者意識が、大阪にモノ申すという大村知事の上から目線につながったのではないでしょうか」
※週刊ポスト2020年6月26日号