国内

大前研一氏が指摘するマイナンバー制度の欠陥とあるべき姿

マイナンバーが役立つ日は来るのか

 国民全員への「10万円給付」に際して活用が期待されたマイナンバーカードだが、結果的に役所の窓口が大混乱するなど、想定通りの効果は期待できなかった。なぜ日本のマイナンバー制度はうまく活用できないのか。経営コンサルタントの大前研一氏が解説する。

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 新型コロナウイルス禍への対応では、日本の行政のお粗末さが露呈したが、とりわけ混乱したのが「特別定額給付金10万円」のオンライン申請である。

 まず、申請に必要なマイナンバーカードの手続き(新規発行、暗証番号の再設定など)で市区町村の窓口に住民が殺到してフロアが密閉・密集・密接の「3密」になり、待ち時間が8時間を超えるケースもあったという。システム自体もアクセスの集中によって遅延やダウンが頻発したとも報じられている。そもそもオンライン申請の手続きなのに、わざわざ役所に足を運ばねばならないというのは、不合理の極みである。

 私は、1993年に上梓した『新・大前研一レポート』(講談社)の中で「国民データベース法」の制定を提案した。その内容は、国民一人一人が誕生した瞬間から個人情報―現在の戸籍のようなものから健康保険、年金、国家試験免許の有無、婚姻、納税、出入国情報など――をすべて生体認証を含めてデータベース化し、国家が一括して管理・保護する、というものだ。

 本連載でも、ことあるごとにマイナンバーシステムの欠陥を指摘し、本来あるべき国民データベースのかたちを提言してきたが、この機に改めてまとめると、従来は戸籍や住民票によって「家」「世帯」ごとに国民を登録・管理していたが、私が提唱する国民データベースは「国」と「個人」を直接結びつけるものだ。そして、戸籍や住民票をなくす代わりに、個人ごとの「リレーショナル(関係)データベース」を構築する。つまり、出生、結婚、出産、離婚、再婚など、個々人の時系列的な関係ができるたびに、それを登録していく。これによって、夫婦や親子などの家族関係がわかるし、先祖を何世代にもわたって辿ることも可能だ。

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