ライフ

鎌田實氏 医療崩壊と介護崩壊を防ぐために必要なこととは

諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師

 新型コロナウイルスの影響で、医療や介護の現場は今もギリギリの状態が続いている。現場が崩壊しないために対策すべきことは何か、諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師が解説する。

 * * *
 ぼくの母校、東京医科歯科大学では、総力を挙げて新型コロナウイルスと闘っている。数億円をかけてICUを全面的に改装し、コロナ患者専用にした。手術も絞った。20あった手術室のうち17を閉鎖し、残りの3つで緊急手術などを行なっている。そして、病院前にテントを設置し、入院する患者さんたちのPCR検査を行なっている。水際作戦である。

 病棟も再編した。ICUを含めた4つの病棟で、陽性者を診療できるようにした。さらに1病棟は、疑いのある患者さんを個室で管理できるようにした。陽性の人と陰性の人が混在している可能性があるため、いちばん神経を使う。

 産婦人科も、この難しい課題に挑んでいる。妊婦がはっきりと陽性であれば、感染症指定病院の産科があるところで出産をする方法がある。しかし、家族などに感染者が出て、妊婦が検査結果待ちのときに陣痛がきたという場合にどうするか。何度もシミュレーションを行ない、陽性かもしれない妊婦さんのお産を支えようとしている。こうした対策は、一か月約12億円の収入減になるという。

 医療崩壊だけでなく、介護崩壊も防がなければならない。欧米のデータでは、死亡者の半数近くは介護施設に入所している人たちといわれている。日本でもその兆しはある。共同通信の調査では、5月8日の時点で、介護施設で入所者474人と職員226人合計700人が感染している。そのうち79人が亡くなった。

 富山市の富山リハビリテーションホームでは、50人以上が感染した。当時、富山市民病院で30人を超える院内感染が発生し、200人のスタッフが自宅待機になっていた。市内にある県立中央病院でも院内感染が起きていた。施設の陽性者を、病院が受け入れられない状況に陥ったのである。

関連記事

トピックス

事実上の戦力外となった前田健太(時事通信フォト)
《あなたとの旅はエキサイティングだった》戦力外の前田健太投手、元女性アナの年上妻と別居生活 すでに帰国の「惜別SNS英文」の意味深
NEWSポストセブン
1992年にデビューし、アイドルグループ「みるく」のメンバーとして活躍したそめやゆきこさん
《熱湯風呂に9回入湯》元アイドル・そめやゆきこ「初海外の現地でセクシー写真集を撮ると言われて…」両親に勘当され抱え続けた“トラウマ”の過去
NEWSポストセブン
笑顔に隠されたムキムキ女将の知られざる過去とは…
《老舗かまぼこ屋のムキムキ女将》「銭湯ではタオルで身体を隠しちゃう」一心不乱に突き進む“筋肉道”の苦悩と葛藤、1度だけ号泣した過酷減量
NEWSポストセブン
左:激太り後の水原被告、右:
【激太りの近況】水原一平氏が収監延期で滞在続ける「家賃2400ドル新居」での“優雅な生活”「テスラに乗り、2匹の愛犬とともに」
NEWSポストセブン
折田楓氏(本人のinstagramより)
「身内にゆるいねアンタら、大変なことになるよ!」 斎藤元彦兵庫県知事と「merchu」折田楓社長の“関係”が県議会委員会で物議《県知事らによる“企業表彰”を受賞》
NEWSポストセブン
“ボディビルダー”というもう一つの顔を持つ
《かまぼこ屋の若女将がエプロン脱いだらムキムキ》体重24キロ増減、“筋肉美”を求めて1年でボディビル大会入賞「きっかけは夫の一声でした」
NEWSポストセブン
チームを引っ張るドミニカ人留学生のエミールとユニオール(筆者撮影、以下同)
春の栃木大会「幸福の科学学園」がベスト8入り 元中日監督・森繁和氏の計らいで来日したドミニカ出身部員は「もともとクリスチャンだが幸福の科学のことも学んでいる」と語る
NEWSポストセブン
横山剣(右)と岩崎宏美の「昭和歌謡イイネ!」対談
【横山剣「昭和歌謡イイネ!」対談】岩崎宏美が語る『スター誕生!』秘話 毎週500人が参加したオーディション、トレードマークの「おかっぱ」を生んだディレクターの“暴言”
週刊ポスト
”乱闘騒ぎ”に巻き込まれたアイドルグループ「≠ME(ノットイコールミー)」(取材者提供)
《現場に現れた“謎のパーカー集団”》『≠ME』イベントの“暴力沙汰”をファンが目撃「計画的で、手慣れた様子」「抽選箱を地面に叩きつけ…」トラブル一部始終
NEWSポストセブン
母・佳代さんのエッセイ本を絶賛した小室圭さん
小室圭さん “トランプショック”による多忙で「眞子さんとの日本帰国」はどうなる? 最愛の母・佳代さんと会うチャンスが…
NEWSポストセブン
春の雅楽演奏会を鑑賞された愛子さま(2025年4月27日、撮影/JMPA)
《雅楽演奏会をご鑑賞》愛子さま、春の訪れを感じさせる装い 母・雅子さまと同じ「光沢×ピンク」コーデ
NEWSポストセブン
自宅で
中山美穂はなぜ「月9」で大記録を打ち立てることができたのか 最高視聴率25%、オリコン30万枚以上を3回達成した「唯一の女優」
NEWSポストセブン