その後、岸本はスカウトされ、女優に。ドラマ、CMと大活躍した。しかし、デビュー14年後の1990年に母が脳溢血で世を去った。まだ57才。苦労をかけた母に、これから親孝行をしていきたいと願っていた岸本にとって、受け入れがたいことだった。
「お母さんが亡くなったとき、岸本さんは底なしの絶望を味わい、女優引退を考えたほどだと話していました。また、倒れてから2か月で逝ってしまったため、満足に介護できなかったという悔しさもあるようです」(前出・知人)
母への後悔、そして母を幸せにしてくれた継父への感謝の思いから、継父の介護を請け負う岸本。しかし、世間一般的には、親の再婚相手を介護する例は少ないという。
「親の再婚相手と養子縁組をすると実の親子と同等になるため介護義務が発生しますが、民法上、親の再婚は『特別な事情』にあたる可能性があり、養子縁組でなくとも介護義務が発生することもあります。しかし実際は介護義務者の経済的余裕がなければ、『身元引受人になっても、介護や金銭の援助はしない』というケースもあります。再婚数が増えているにもかかわらず、義親の介護をしている人が少ないのは、義親との関係性にも一因があるのが現状です。
またお金のトラブルにも発展しやすいので要注意。たとえばどんなに熱心に介護をしても、養子縁組をしていない場合、財産を相続できない場合もあります。トラブルを防ぐためにも、義親と実親、双方が元気なうちに介護について話し合っておくことが理想的です」(介護に詳しい未来設計サポートMeditの藤澤一馬さん)
岸本にも、継父だからこその介護の苦労はあるのだろうか。6月中旬、自宅から出てきた彼女に話を聞いた。