広告業界では、この“仲介手数料”のことを『管理進行料』と呼ぶ。この構造自体はクライアントが民間企業である場合も変わらない。そうした公告宣伝の対価として仲介手数料が発生することも正当なビジネスであり批判されるものではない。
しかし、今回の問題がなぜ国民の怒りを買っているかといえば、電通が“濡れ手に粟”で懐を潤わせている国家事業の予算が、公金で賄われているからだ。立正大学客員教授(税法)の浦野広明氏が語る。
「サ推協のように決算公告に詳細が明示されていない団体を通して、広告代理店に国家レベルの公共事業を発注するやり方は疑問視せざるを得ない。民間同士の契約であれば、金額の妥当性や使途、あるいは成果などが厳しく精査されますが、公金が原資の国家事業の場合、官僚や役人は自分たちの懐が痛むわけではないのでドンブリ勘定で丸投げする傾向が顕著です」
持続化給付金を巡る入札では、評価Aのデロイトトーマツではなく評価Cのサ推協に決定したことが問題視されたように、公共事業の入札で不透明さが指摘されたケースは枚挙に暇がない。「役所にすれば、事業内容をよく知っている馴染みの業者に実施させたほうが自分たちの手間がかからない。そういうケースは発注後のチェックもおざなりになりがちです」(同前)
とりわけ持続化給付金は、新型コロナによって収入が減った中小企業や個人事業主らを支援するための事業だ。生活に窮する人を助けるはずの給付金事業で、平均年収約1200万円といわれる日本最大の代理店が潤っていたわけだ。
※週刊ポスト2020年7月3日号