背中とは無関係に思える臓器に疾患がある場合も

 胸部にできた大動脈瘤が解離・破裂したときも、背中に痛みが生じる。2015年に亡くなった俳優・阿藤快さん(享年69)や2013年に亡くなった歌手・大滝詠一さん(享年65)は、亡くなる直前に、背中の痛みを訴えていたという。

 川崎幸病院の川崎大動脈センター・センター長で大動脈外科部長の大島晋さんが解説する。

「大動脈瘤は血管の老化によって起きる動脈硬化が原因のことが多い。もともと高血圧の人や、大動脈瘤の家族歴がある人はなりやすく、注意が必要です」

 大動脈瘤ができていたとしてもそれだけでは無症状で痛みはないが、それが大きくなって破裂・解離すると、これまで経験したことのないような強烈な痛みを背中や肩甲骨まわりに感じるという。大島さんが続ける。

「大動脈解離では血管が裂けるときに痛みを感じるため、痛い場所が次々移動していくのも特徴です。背中の痛みが胸や腰に移ったり、痛みが治まったと思ったのに、また別の場所が痛み出したら要注意です」

 注意が必要な血管に関する病気はほかにもある。

「肩や背中のこりは、心筋梗塞や狭心症が原因のケースもあります。どちらも心臓の病気のため、胸全体に加えて、肩の後ろや背中も痛むこともある。しみたりひびくような痛みではなく、筋肉がこり固まるような痛みで、息が苦しいと訴える人も多い。

 狭心症の場合、痛みが継続するのは10~15秒くらいと短いものの、心筋梗塞は2~3分続きます。狭心症が進むと心筋梗塞になり、治療も難しくなるため、狭心症の時点で気づいてほしい」(菊池さん)

 緊急事態宣言以降、患者が激増したとされる帯状疱疹も、背中の痛みから発症することがある。

「脊髄に潜んだ帯状疱疹ウイルスが、免疫が弱った際に神経に沿って皮膚に出てきます。発疹や水ぶくれが出れば誰でもわかりますが、初期の頃は鈍痛だけのことが多く、筋肉痛と勘違いされがちです。死に至る病気ではありませんが、悪化すると激痛を伴ううえ、ぶりかえしやすい。早く見つけるに越したことはありません」(生坂さん)

※女性セブン2020年7月2日号

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