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【関川夏央氏書評】誰もが身につまされる主題で綴る家族史

 実は、墓石を競う「累代の墓」は産業革命以降の比較的あたらしい流行にすぎないという。それ以前は土葬の土饅頭で、数代を経ぬうちに埋めた場所はわからなくなっていた。死者を記憶しつづけるのは大切なことだ。しかし同時に、死者は「特定の誰という人物から、『ご先祖さま』になって、名前を忘れられてゆく必要がある」。

「累代の墓」を六十二年で「しまい」、老母の九十四歳まで七年間の看取りとコンパクトな葬儀を「外注」に助けられてやりおおせた著者が記した家族史こそ、現代の民俗学テキストであろう。

※週刊ポスト2020年6月26日号

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