国内

コロナに丸腰で感染者続出のブラック企業 現役社員がSOS

「東京アラート」は解除され休業要請を全面解除されたが新規感染者はなかなか減らない(時事通信フォト)

「東京アラート」は解除され休業要請を全面解除されたが新規感染者はなかなか減らない(時事通信フォト)

 法の網や不備を悪用して長時間労働やサービス残業などを強制する企業を「ブラック企業」と呼ぶが、これからは、新型コロナウイルス対策をまったくしないことも要素として加わることになりそうだ。ライターの宮添優氏が、感染対策をまったくしないまま、コロナ禍で下がった営業成績を上げるよう、ピンチはチャンスとばかりに積極的に業務を継続する企業が、新たなクラスターとなる恐れについてレポートする。

 * * *
 6月24日、およそ1ヶ月半ぶりに「55人」という高水準の新型コロナウイルス新規感染者を出した東京都。25日は48人、26日も54人を超え、会見で小池百合子都知事は「第2波ではない」と明言したが、巷では警戒する声も上がっている。緊急事態宣言解除から1ヶ月が経過したところで、以前より指摘されていた「夜の街」関連の感染の他に、新たに「企業クラスター」ともいわれる企業内感染も発覚した。民放キー局の東京都庁担当記者がいう。

「緊急事態宣言、東京都独自の東京アラートも解除され、街にはサラリーマンが戻りつつある。そんな状況の中で、企業クラスターが発生し多くの患者が出た、ということに当局は危機感を持っています」(民放キー局記者)

 どんなに万全と思われる予防策をとっていても、感染するときには感染してしまう。ある程度の諦観の上に見守るしかない……そう思っていた筆者のところに、驚くべき情報が寄せられた。

「コロナが出て、みんなやっぱりって思っています。何の対策もなかったし、会社も通常以上に密状態。ホストクラブが槍玉に上がっていますが、ブラック企業はもっとひどい。今後感染者が何人出るか、社員は本当に生きた心地がしていません」

 絶対匿名を条件に話をしてくれたのは、24日に従業員9人の感染が判明した、新宿区内に本社を置く人材派遣会社・X社の現役社員、持田優希さん(仮名・20代)。X社ではこれまでに7人の感染者が確認されており、合わせて16人が感染したことになる。

「緊急事態宣言中、コロナが心配だから在宅勤務にしてほしいと、従業員は何度も上司にお願いをしました。でも上からの指示は真逆で、売り上げが落ちているからどんどん営業しろ、というものでした。発破をかけるためか、支社員は最寄りの営業拠点か、新宿の本店に集められ、ものすごい密な空間の中で仕事をさせられました。夜は飲み会も普通にあった。会社のコロナ対策? 消毒液すらありませんでした。とにかく売り上げを落とすな、それだけです」(X社の現役社員)

 最近はどの事業所も、消毒液を常備して出入りの際には使用を促し、机と机の間にパーテーションをつくるか、席を離すなどするのが普通だろう。ところが、X社は消毒液などどこにもなく、オフィスはついたても無く座席が密集したまま。もちろん、リモートワークのための環境整備をしようともしない。それどころか、今年はどこも見送った歓送迎会や親睦のための飲み会も通常どおり行っていたというのだ。

 実はこう話す本人も、保健所から「濃厚接触者」と見なされ、現在は自宅で待機している。ならば会社はある程度の対策を取り始めたのかというとそうではなく、そもそも保健所への報告にも虚偽がある可能性があり、濃厚接触者が今でも営業に出ているという。

「社員間で、どの人が(新型コロナ)陽性だったという情報が共有されているのですが、陽性だった人と先週一緒に飲んでいた人が今日も働いているんです。医療機関に営業に回ることもある会社なので、そういった場所でウイルスをばらまくようなことになっていないか、不安で仕方がない」(X社の現役社員)

関連記事

トピックス

岡田監督
【記事から消えた「お~ん」】阪神・岡田監督が囲み取材再開も、記者の“録音自粛”で「そらそうよ」や関西弁など各紙共通の表現が消滅
NEWSポストセブン
成田きんさんの息子・幸男さん
【きんさん・ぎんさん】成田きんさんの息子・幸男さんは93歳 長寿の秘訣は「洒落っ気、色っ気、食いっ気です」
週刊ポスト
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
不倫騒動や事務所からの独立で世間の話題となった広末涼子(時事通信フォト)
《「子供たちのために…」に批判の声》広末涼子、復帰するも立ちはだかる「壁」 ”完全復活”のために今からでも遅くない「記者会見」を開く必要性
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン