過去の感染者の行動履歴などから、もっとも感染しやすい環境のひとつに、酒が入った食事の席があることは、注意喚起や報道が繰り返された今なら多くの人が知るところだろう。ウイルスの前に特別は存在しない。すべての人が等しく危険にさらされ、自分が危険をばらまく可能性もある。だが、感染対策を訴えると、空気を読めないと上司も経営陣も黙殺するらしい。
さらに社内には、保健所が「検査を要する」とする濃厚接触者以外にも、感染している可能性がある人物がいる。そう説明する現役社員は、自身が「陽性」である可能性も踏まえた上で、次のように断言する、
「新しい生活様式が求められる中、X社は対策を取るどころか、利益至上で社員だけでなくお客さんをも危険な目に合わせています。本当ならもっと早く声をあげるべきでしたし、私たちにも責任があります。ただ、もう我慢ができないということで、社内の有志がメディアに情報を提供し始めている。こういう会社があることを皆さんに知ってほしい、他にも同じような会社があるのなら、今すぐ改めてほしい、そんな思いです」(X社の現役社員)
筆者はこのX社に取材すべく電話したが「担当者は不在」の一点張り。ただし、筆者の元には前出の現役社員の他にも、複数の関係者の証言が寄せられている。全ての証言が本当だとしたら、我が国が腐心の末にやり遂げてきた「クラスター潰し」は全く意味を持たなくなる。そして、このようにコロナ対策をまったくせずクラスター化する職場が続発したら、どうなるのか。経営陣が私利私欲に走るだけの企業が他にもあるならば、第1波より凄まじい勢いの第2波が、あっという間に我が国を襲うことになるだろう。