ライフ

パソコンによる遺言書 財産目録のみOK、本文は手書き必要

遺言書は手書き? パソコン入力?

「遺言さえあれば、親族で争うことはなかった…」。そんな後悔の声は今後、減るかもしれない。今年の1月から、自筆証書遺言の作成方式が緩和され、遺言を残す人が増えると予想されている。しかし、同時にトラブルも起き始めている。

 自筆で遺言を書くハードルは確かに下がったが、落とし穴もある。まず注意すべきは、自筆証書遺言の全文をパソコンで作成できないということ。司法書士の中島美樹さんはこういう。

「パソコン作成が認められているのは財産目録だけで、遺言の本文は手書きする必要があります。またパソコンで作成した財産目録のすべてのページに署名押印をする必要があり、両面印刷した場合は、両面に署名押印します。1つでも忘れると遺言全体が無効になる可能性があります。せっかく書いた遺言は効力がなく、相続人全員を集めて、誰が何を相続するのかという協議を始めないといけなくなる。その協議が紛糾すれば、弁護士などに依頼することになり相続の額にもよりますが、少なくとも20万円ほどの費用がかかります」(中島さん)

 本文と財産目録は別の用紙で作成する必要がある。

「財産目録の余白に『この不動産は〇〇に相続させます』などと印刷すると、遺言が無効になる恐れがあります。遺言の本文と財産目録は必ず別の用紙で作成しなければなりません」(中島さん)

 財産目録に「漏れ」は禁物だ。

「目録にはすべての財産を明記する必要があり、漏れが発覚すると相続人と協議して遺産分割協議書を新たに作らないといけません。1人でも連絡の取れない相続人がいると協議が整わず、誰が相続するか決まらないまま、遺産が宙ぶらりんになる可能性があります」(中島さん)

「金融資産」を見落とすケースもしばしば見受けられるという。相続対策を行う夢相続代表の曽根恵子さんが解説する。

「不動産の分け方は書いてあるけど、預貯金や有価証券などの金融資産をどう分けるかが抜けていることがあります。多くの人の場合、相続といえば不動産という思い込みがあったり、遺言書作成から亡くなるまで時間があるため、金融資産の総額を書きにくい、という思いがあるのかもしれません。また、銀行口座を複数持っていて、口座の存在をすっかり忘れている場合もあります。

 もう1つ漏れやすいのが貴金属類です。普段づかいの装飾品や洋服類などは財産目録に書くことはありませんが、100万円を超えるような高価なアクセサリーや古美術などは目録に入れてもいい。それだけ資産価値があれば、あとで相続人間でのトラブルになりかねない」(曽根さん)

関連キーワード

関連記事

トピックス

防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
「服のはだけた女性がビクビクと痙攣して…」防犯カメラが捉えた“両手ナイフ男”の逮捕劇と、〈浜松一飲めるガールズバー〉から失われた日常【浜松市ガールズバー店員刺殺】
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《左耳に2つのピアスが》地元メディアが「真美子さん」のディープフェイク映像を公開、大谷は「妻の露出に気を使う」スタンス…関係者は「驚きました」
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(27)と伊藤凛さん(26)は、ものの数分間のうちに刺殺されたとされている(飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
「ギャー!!と悲鳴が…」「血のついた黒い服の切れ端がたくさん…」常連客の山下市郎容疑者が“ククリナイフ”で深夜のバーを襲撃《浜松市ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
和久井学被告と、当時25歳だった元キャバクラ店経営者の女性・Aさん
【新宿タワマン殺人・初公判】「オフ会でBBQ、2人でお台場デートにも…」和久井学被告の弁護人が主張した25歳被害女性の「振る舞い」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(Instagramより)
《愛するネコは無事発見》遠野なぎこが明かしていた「冷房嫌い」 夏でもヒートテックで「眠っている間に脱水症状」も 【遺体の身元確認中】
NEWSポストセブン
大谷翔平がこだわる回転効率とは何か(時事通信フォト)
《メジャー自己最速164キロ記録》大谷翔平が重視する“回転効率”とは何か? 今永昇太や佐々木朗希とも違う“打ちにくい球”の正体 肩やヒジへの負担を懸念する声も
週刊ポスト
『凡夫 寺島知裕。「BUBKA」を作った男』(清談社Publico)を執筆した作家・樋口毅宏氏
「元部下として本にした。それ自体が罪滅ぼしなんです」…雑誌『BUBKA』を生み出した男の「モラハラ・セクハラ」まみれの“負の爪痕”
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
「佳子さまは大学院で学位取得」とブラジル大手通信社が“学歴デマ報道”  宮内庁は「全報道への対応は困難。訂正は求めていません」と回答
NEWSポストセブン
米田
「元祖二刀流」の米田哲也氏が大谷翔平の打撃を「乗っているよな」と評す 缶チューハイ万引き逮捕後初告白で「巨人に移籍していれば投手本塁打数は歴代1位だった」と語る
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト