伊勢神宮を参拝する安倍首相(時事通信フォト)
さらに、安倍首相にとって「最強の支持基盤」が伊勢神宮を本宗とし、全国8万社の神社を傘下に置く包括宗教法人・神社本庁だろう。田中恆清(つねきよ)・総長は保守系団体「日本会議」の副会長を務め、安倍首相の憲法改正路線を強く支持してきた人物で、首相自身、神社本庁の関連団体である神道政治連盟国会議員懇談会会長を長く務めている。
この団体には、安倍政権の現閣僚20人のうち16人が所属しており、国会議員では295人が所属している。各議員が選挙区に張りめぐらせた“神社ネットワーク”が選挙を下支えしている。
「田中総長は2016年の正月には初詣で賑わう各神社に署名簿を置かせ、日本会議などが中心になった憲法改正1000万人署名活動への協力を主導しています」(政治ジャーナリスト・伊藤博敏氏)
その神社本庁が揺れている。6月12日には、傘下の有力な神社である香川県琴平町の金刀比羅宮、通称“こんぴらさん”が神社本庁からの離脱を表明した。昨年11月に行なわれた天皇の皇位継承の重要祭祀「大嘗祭」に合わせて神社本庁傘下の神社が行なった当日祭にあたって、本庁から届けられるはずのお供えが金刀比羅宮にだけ届けられず、「神社本庁は天皇陛下に不敬だ」という理由だ。
神社本庁では本庁幹部職員が絡む不透明な不動産取引などの不祥事に傘下の神社から批判があがっており、金刀比羅宮も批判派だった背景がある。離脱したのは金刀比羅宮だけではない。2013年には京都の梨木神社、2017年には東京の富岡八幡宮、昨年は京都の建勲神社など田中総長体制になってから有力神社の離脱が続いている。神社本庁を2010年に離脱した石川県の気多大社の三井孝秀・宮司が語る。