もしワクチンが開発されても、短いスパンで抗体が消えるならば、インフルエンザワクチンのように毎年、もしくは毎シーズンのように接種しなくてはならないかもしれない。もしくは減少ペースが早すぎて、まったく効かない可能性もある。
「新型コロナと同じRNAウイルスであるインフルエンザはその年の流行株を予想してワクチンを接種しますが、予想が外れると罹りやすくなります。新型コロナも同じ状況になるかもしれません。仮にインフルエンザとパターンが似ていても、新型コロナの方が致死率が高いので警戒が必要です」(前出・一石さん)
その安全性にも疑問が残る。予防医療学が専門である新潟大学名誉教授の岡田正彦さんはこう話す。
「実際に新型コロナに有効か、副反応はあるのかなど大規模な治験を行わなければいけません。そのためには開発後の治験に数年は必要です。1年足らずで作られたワクチンは、その有効性や安全性が充分に検証できていません。薬もそうですが、国に承認されて5~10年たった後に副作用が判明し、使用禁止になるものや、効果が充分でないと評価されるものも多い。ですから、たとえ、すぐにコロナワクチンが開発されたとしても、私は最低5年、ワクチンを打ちたくありません」
欧米諸国ではすでにワクチン調達競争の動きがあり、安倍晋三首相もワクチン開発を進める米モデルナ社などと交渉し、年末には接種できるようにすると明かしている。
「各国とも、集団免疫をあきらめ、ワクチン頼みになっていますが、中国の報告書によってワクチンは不可能である可能性が生まれました。このままでは打つ手はありません」(医療ジャーナリスト)
集団免疫もワクチンも難しいのであれば、新型コロナとの共生はどうなるのだろうか。
「季節性インフルエンザや風邪のように、生活の中に当たり前に存在するようになっていく可能性があります。SARSやMERSの場合は、自然収束に向かいました。しかし新型コロナは未知のウイルスなのでなかなか油断はできません」(前出・一石さん)
自粛生活によってコロナ以外の病気になるリスクも高まっている。家にこもりきりで運動不足になったり、間食や酒量が増えるなど、生活習慣が乱れがちになるからだ。