国内

新型コロナ防止策、世界の新たなトレンドは局所的な地域封鎖

クラスターは“夜の街”から飛び火が(写真/Getty Images)

 七夕が終わり、刻一刻と夏が近づいてきている。夏休みやお盆の旅行計画を立てる正念場という人も多いはず。新型コロナウイルス感染予防のための自粛期間が長く続いた反動からか、8月の沖縄、北海道行きの飛行機のなかには満席に近い便もある。理由はソーシャルディスタンスにより、座席が激減しているから。早く予約しないとすぐに埋まってしまうだろう。

 都内の感染者増加を受け7月4日、小池百合子都知事(67才)は「不要不急の他県への移動の自粛」を要請した。しかし、実際は聞く耳を持つ人は少ない。

 振り返れば、3月末に小池都知事が外出自粛要請をした際の都内の感染者は41人、4月中旬に国が緊急事態宣言を出した際の都内の感染者は151人だった。それから3か月。都内の感染者数は100人超えが続いた。都内在住の40代主婦が話す。

「いまの状況って、緊急事態宣言が出されたときに近づいているってことですよね? けど、何人超えたら自粛要請が出るなど都が明確な数値を出していないから、どのタイミングで何が起こるのかわからない。いままで帰省をがまんしてきたので、夏休みに実家に帰るのを楽しみにしていたのですが、このまま他県への外出自粛は続くのでしょうか? 次は何が起こるのでしょうか?」

 景気悪化を恐れる国と、都の貯金が少なくなった小池都知事は経済が止まってカネばかりかかる休業要請はできるだけ避けたい気持ちがある。

「国際オリンピック委員会(IOC)は、来年開催予定の東京五輪の可否を10月頃に評価する方針です。再延期の選択肢はないので、いまはできるだけ『東京は危険』との印象を持たれたくないという思いがある。国も都も思い切った対策が打てない状況です」(全国紙政治部記者)

 東京が足踏みをするなか、世界では感染再拡大への備えが見られる。新たなトレンドは局所的な「地域封鎖」だ。

 スペインは東部アラゴン州の一部で移動や施設営業を制限し、ドイツは西部の集団感染の起きた郡と隣接する2つの郡を封鎖した。また第2波の脅威に直面する中国は北京近隣で人口約39万人の河北省安新県を封鎖。イギリスも感染者が増加していた、中部の地方都市レスターを再封鎖した。

 国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんはこう話す。

「地域封鎖は全面封鎖による経済的ダメージを縮減しつつ、ピンポイントで感染拡大を抑えて資金がかからない。日本でも海外の事例と同様の、あるいは近い形で、東京に限らず特定の地域、業種に絞っての封鎖や自粛要請などの可能性はあるかもしれません」(一石さん)

 現在の東京の感染状況から考えれば、「新宿区だけ」「ホストクラブだけ」という選択肢ならば少ない財源でもできるだろう。

 このまま感染者の増加を放っておけば、東京はさらなる感染拡大が見込まれる。昭和大学客員教授(感染症)の二木芳人さんが言う。

「いまは東京からウイルスが各地に飛び火し始めている段階です。このまま放置すると東京が火種となり、全国的な第2波の発生につながりかねません」

※女性セブン2020年7月23日号

「不要不急の他県への移動の自粛」を要請した小池知事(共同通信社)

関連記事

トピックス

ヴィクトリア皇太子と夫のダニエル王子を招かれた天皇皇后両陛下(2025年10月14日、時事通信フォト)
「同じシルバーのお召し物が素敵」皇后雅子さま、夕食会ファッションは“クール”で洗練されたセットアップコーデ
NEWSポストセブン
高校時代の青木被告(集合写真)
【長野立てこもり殺人事件判決】「絞首刑になるのは長く辛く苦しいので、そういう死に方は嫌だ」死刑を言い渡された犯人が逮捕前に語っていた極刑への思い
NEWSポストセブン
ラブホテルから出てくる小川晶・市長(左)とX氏
【前橋市・小川晶市長に問われる“市長の資質”】「高級外車のドアを既婚部下に開けさせ、後部座席に乗り込みラブホへ」証拠動画で浮かび上がった“釈明会見の矛盾”
週刊ポスト
米倉涼子を追い詰めたのはだれか(時事通信フォト)
《米倉涼子マトリガサ入れ報道の深層》ダンサー恋人だけではない「モラハラ疑惑」「覚醒剤で逮捕」「隠し子」…男性のトラブルに巻き込まれるパターンが多いその人生
週刊ポスト
問題は小川晶・市長に政治家としての資質が問われていること(時事通信フォト)
「ズバリ、彼女の魅力は顔だよ」前橋市・小川晶市長、“ラブホ通い”発覚後も熱烈支援者からは擁護の声、支援団体幹部「彼女を信じているよ」
週刊ポスト
新聞・テレビにとってなぜ「高市政権ができない」ほうが有り難いのか(時事通信フォト)
《自民党総裁選の予測も大外れ》解散風を煽り「自民苦戦」を書き立てる新聞・テレビから透けて見える“高市政権では政権中枢に食い込めない”メディアの事情
週刊ポスト
ソフトバンクの佐藤直樹(時事通信フォト)
【独自】ソフトバンクドラ1佐藤直樹が婚約者への顔面殴打で警察沙汰 女性は「殺されるかと思った」リーグ優勝に貢献した“鷹のスピードスター”が男女トラブル 双方被害届の泥沼
NEWSポストセブン
出廷した水原一平被告(共同通信フォト)
《水原一平を待ち続ける》最愛の妻・Aさんが“引っ越し”、夫婦で住んでいた「プール付きマンション」を解約…「一平さんしか家族がいない」明かされていた一途な思い
NEWSポストセブン
公務に臨まれるたびに、そのファッションが注目を集める秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
「スタイリストはいないの?」秋篠宮家・佳子さまがお召しになった“クッキリ服”に賛否、世界各地のSNSやウェブサイトで反響広まる
NEWSポストセブン
司組長が到着した。傘をさすのは竹内照明・弘道会会長だ
「110年の山口組の歴史に汚点を残すのでは…」山口組・司忍組長、竹内照明若頭が狙う“総本部奪還作戦”【警察は「壊滅まで解除はない」と強硬姿勢】
NEWSポストセブン
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 電撃解散なら「高市自民240議席の激勝」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 電撃解散なら「高市自民240議席の激勝」ほか
NEWSポストセブン