ライフ

色柄が違う子を一度に産む雌猫 「父猫は複数」説は本当か

“カギしっぽ”があると「幸福の猫」と言われる(写真/五十嵐健太)

 人間とともに生きるペットとして、長く愛され続ける猫。その関係性は実に1万年におよぶという。そんな猫に関するうんちくや歴史について、上野動物園の動物解説員などを務め『ざんねんないきもの事典』シリーズを監修した動物学者の今泉忠明さんに教えてもらった。

【Q.1】猫はどこから来て、いつ頃から人と暮らし始めたの?
A. 5000万年前に出現し、1万年前に人間と共生し始めた

「5000万年前、北アメリカと北ヨーロッパがつながっていた頃、森に出現した“ミアキス”が犬猫の祖先です。そこから平原に出たのが“犬”で、森に居続けたのが“猫”。森で待ち伏せしながら狩りをしてきた究極の単独行動派が“トラ”で、森から平原に出て集団生活を始めたのが“ライオン”です。

 猫がサバンナ地帯を徘徊していたのは1万年くらい前のこと。その頃から人間は農業とともに定住も始めていました。そこで猫の方から人間に近づき、ネズミを退治して農作物の被害を食い止め、win-winの関係を築いて家畜として飼われるようになりました。動物の方から人間に近づいて来たのは、家畜として非常に珍しいことです」(今泉さん・以下同)

【Q.2】しっぽの先の曲がったカギしっぽの猫は、幸運の猫なの?
A. 珍しいだけで、幸運の猫である根拠はない

「先が折れ曲がっていたり、ねじれていたりするしっぽを“カギしっぽ”といいます。日本では、特に長崎の港町で多く見られるのですが、実はこれ、腫瘍が原因の病気です。とはいえ、関節炎のようなもので、命に別状はありませんのでご安心ください。このカギしっぽは幸運の猫ともいわれますが、三毛猫のオスと同じように珍しいからでしょう」

【Q.3】猫も夢を見るの?
A. ピクピクするレム睡眠のときは夢心地

「猫は1日約14時間眠るといわれますが、実は何か物音がすると瞬時に起きるのは、眠りが浅いため。深い眠りは3~4時間程度で、あとは浅い眠りのレム睡眠。脳は起きているけれど体が寝ている状態です。猫の脳はそこそこ発達しているので、レム睡眠時に夢を見るんでしょう。猫の体が寝ながらピクピク動くのは、人間同様、夢を見ている可能性が高いからでしょう」

【Q.4】猫が色柄の違う子を一度に産むのは、違うオスと交尾しているからって本当?
A. クローン猫の失敗でウソと判明しました

「猫は一度に数匹の子猫を産むが、母猫と色や柄の違う毛の子猫がよく生まれるため、“違うオスと交尾したのでは”とささやかれてきました。ですが、米国でクローン猫を扱う会社が、遺伝子を保存して再生したところ、親とは似ても似つかぬ子猫が生まれ、その会社は倒産してしまいました。

 つまり、色・柄・毛質の情報は遺伝子のどこかに乗っかっていて、生まれてくる子の模様のパターンは無限に近い。おそらく、基本的に顔が大きくて強いオスを選んで交尾し、その交尾の刺激によって排卵が起こる“交尾排卵型”という生理現象で子孫を残すのが、猫の生存戦略なのでしょう。猫の名誉のためにも、父親は強い1匹だと私は考えます」

猫が色柄の違う子を一度に産むのは、違うオスと交尾しているから?(イラスト/尾代ゆうこ)

※女性セブン2020年7月23日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

AIの技術で遭遇リスクを可視化する「クマ遭遇AI予測マップ」
AIを活用し遭遇リスクを可視化した「クマ遭遇AI予測マップ」から見えてくるもの 遭遇確率が高いのは「山と川に挟まれた住宅周辺」、“過疎化”も重要なキーワードに
週刊ポスト
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト