なぜ、検査が行われているのに流通後に汚染が発覚するのか。そもそもなぜ、そんなに流通してしまうのか。食の安全に詳しいジャーナリストの小倉正行さんは、その裏側をこう説明する。

「空港などでの検査は、すべての輸入食材に対して行われているわけではありません。過去の違反事例のあった会社のものなど一部を除くと、無作為に選んで検査する『モニタリング検査』が行われているのです。2018年度のデータでは、食品の輸入件数が248万件であるのに対し、検査件数は20万件ほど。検査率はわずか8.3%しかないのです」

 原因はマンパワー不足だ。

「食品衛生監視員は日本に約420人しかいないため、検査数に限界があります。少なくとも3000人程度にまで増やさなければ、充分な検査体制は整いません」(前出・小倉さん)

 問題は検査の少なさだけではない。

「モニタリング検査の場合、結果が判明する前に輸入が認められます。本来ならば輸入業者は検査結果が出るまで流通を控えなければならないのですが、なかには、結果を待たずに取引先に卸してしまう業者もいます」(前出・小倉さん)

 その結果、食べてしまってから汚染を知らされるという悲劇がこの日本国内で相次いでいるのだ。

※女性セブン2020年7月30日・8月6日号

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