協会は懲戒解雇など重い処分にしなかった理由を「コンプライアンス委員会から降格処分が妥当とする答申を受け、決定した」(広報部)と説明する。
公益法人でありながら、暴力が繰り返し問題化していることを考えれば、“寛大な処置”に思える。
「協会内に“明日は我が身”という考えもあるのではないか。力士が暴言を録音して通報したら解雇、という前例ができたら首筋が寒い親方衆も多い」(前出・ベテラン記者)
中川親方の降格処分を決めた理事会では、7月場所に2500人の観客を入れることも決まった。
「1場所5億円とされるNHKの放映権料が入る協会は無観客でも財政的に安泰だが、年間400万円の維持費を出す溜会のプッシュがあったし、茶屋も常連客にいい顔をしたい。その利害調整でしょう。ただ、力士に感染死が出ていることを考えれば、密閉された国技館に観客を入れるどころか、場所開催、稽古再開にも慎重さが求められるはずですが……」(同前)
ポストコロナの時代になっても、角界の体質は変わっていないのか。
※週刊ポスト2020年7月31日・8月7日号