人気漫画家・池山田剛氏も「コロナで心境に変化があった」という

『好きです鈴木くん!!』などの人気作で知られる累計1800万部超の人気作家・池山田剛氏もその1人だ。これまで王道の学園モノを描いてきた池山田氏だが、7月20日発売の『Sho-Comi』(小学館)で発表した最新作『異世界魔王は腐女子を絶対逃がさない』では、これまでにない「ファンタジー恋愛」に挑んでいる。

 池山田氏が始めて「王道ではない設定」を選んだのも新型コロナが影響していた。

「実は以前から、次の作品はファンタジーを描いてみませんか? というお話を編集部からいただいていました。ですが、これまで学園モノばかり描いてきた私がファンタジーを描けるのだろうか?と迷っていて……。そんな葛藤の中で新型コロナウイルスが猛威をふるい、全国の学校が休校、ニュースはコロナ一色になってしまいました。

 私の母はとても真面目な人間で、暗い話題ばかりの生活に気が滅入っているようでした。どうしたらいいものか──と考えているうちに、昔、母が『冬のソナタ』にハマっていたのを思い出したんです。そこで今話題の韓国ドラマ『愛の不時着』を見てみたら?と伝えたところ、これが大当たり。すっかり目がキラキラと輝き出しました。その時に、『ああエンタメって大事だなぁ。夢のあるお話ってこんなに人を元気づけるんだ』と思ったんです。

 そこで改めて“マンガ家として自分には何ができるのか?”と考えてみました。辛い現実が日々隣にある今こそ、私自身も“学園”という殻から飛び出して、夢のあるファンタジーの世界を描いてみようと決心することができたんです」

 池山田氏だけではなく、大御所作家が新たなテーマへ挑戦する事例が目立つ。『BLACKCAT』『To LOVEる』などで『週刊少年ジャンプ』(集英社)の看板作家として活躍した矢吹健太朗もその1人だ。新連載『あやかしトライアングル』は第1話から主人公が男性から女性へと「性転換」するというかつてない展開を見せてネット上で大きな反響を受けた。

 ネガティブな面ばかりに目がいく「新しい生活様式」だが、「新しいマンガ様式」は作り手も読み手も双方が新しいことに挑戦する良い転換期になっているのかもしれない。

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