【第1の壁】テレワーク実施率の低さ
4月に緊急事態宣言が出た直後、さまざまな企業がテレワーク実施に踏み切った。ところが、解除になったとたん、従来通りの通勤が復活してしまった。
東京商工リサーチの調査(7月14日=対象1万4356社)によると、在宅勤務・リモートワークを「現在も実施中」は31.0%。「実施したが、現在は取りやめた」が26.7%、「一度も実施していない」が42.2%だった。
有給休暇の取得率の低さもネックだ。「就労条件総合調査」(厚労省=平成31年)によると、サラリーマンの年次有給休暇日数の平均は18.0日。取得日数は9.4日で、取得率は52.4%にとどまる。また、夏季休暇の制度がある企業は42.9%しかないのが実態だ。
有給は取りにくい、まとまった休みも取りにくい。そのうえ、リモートワークの定着さえままならないのが日本企業の実情だ。ましてや旅先でのテレワークはハードルが高すぎる。
【第2の壁】企業業績悪化、雇用環境の悪化 賃金低下
コロナ禍の長期化で企業業績の悪化、雇用環境の悪化に歯止めがかからない。コロナ倒産は全国で400件を突破(帝国データバンク8月3日発表)、コロナ禍に伴う「解雇」や「雇い止め」は4万人超(厚労省)に達している。
企業業績もどん底。業績を下方修正した上場企業が1000社に達した(東京商工リサーチ7月29日発表)。日産自動車のように2020年3月期の6712億円に続き、2021年3月期も6700億円の巨額赤字との見込みを発表した企業もある。
サラリーマンの実質賃金も3か月連続マイナスで、5月は前年同月比で2.1%減だった(厚労省7月7日発表)。給料が減るぐらいならまだまし。明日の仕事確保もままならないような状況に置かれている人々が増えているのだ。