【第5の壁】Wi-Fi整備率の低さ

 ワーケーション導入に向けて環境省は、国立・国定公園国民保養温泉地のキャンプ場、旅館、ホテル等を対象にWi-Fi環境整備に助成金を支給することを明らかにしている。

 国内のWi-Fi普及率は大都市圏や都市部は高くなってきているが、地方の山間部などはほぼ未整備に近い。筆者は山歩きなどの取材で全国各地を巡ったが、Wi-Fiどころか携帯の電波さえ届かない状況が当たり前だった。

 少々古いが2015年の総務省のデータでは、全国約400の自然公園(国立公園など)におけるWi-Fiの普及率はビジターセンターを中心に26%にとどまっていた。最近は高原リゾートの近くなどにWi-Fi環境が整備されたサテライトオフィスや、コワーキングスペースが登場しているが、いつでもどこでもつながる環境が全国まんべんなく整備されるのはいつの日になるだろうか。

【第6の壁】コロナ感染の再拡大

 政府はワーケーションを国内での観光需要掘り起こし策として期待しているようだが、感染が再拡大しているコロナ禍が終息しないことには話にならないのではないか。Go Toキャンペーンもそうだが、ワーケーションによる感染拡大の恐れも指摘されている。

 受け入れる観光関連業者はともかく、観光地周辺に住む地域に人たちの拒絶反応も、今の状況からすれば容易に察しられる。ワーケーションはポスト・コロナ時代に入ってから検討するテーマで、コロナ禍の中で進めていく話ではないだろう。

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