国内

コロナ慣れして無頓着な人とリスク急増に怯える人の「分断」

新型コロナウイルス感染防止を呼び掛けるため、大相撲7月場所の土俵上に掲げられた懸賞旗スタイルの告知旗(時事通信フォト)

新型コロナウイルス感染防止を呼び掛けるため、大相撲7月場所の土俵上に掲げられた懸賞旗スタイルの告知旗(時事通信フォト)

 災害や事件、事故などに遭ったとき、本当は深刻な状況なのに心が疲弊しないために物事を過小評価してしまう「正常性バイアス」を人間は発揮することがある。警報が出ているのに避難しない、危険なので近寄らないでと言われているのに見物や撮影に出かけてしまう人には、正常性バイアスが働いていると言われる。新型コロナウイルスについても、悪い意味でコロナがある生活に慣れ、無頓着になる人が続出している。ライターの森鷹久氏が「コロナ慣れ」してしまった人たちについてリポートする。

 * * *
「大手企業に勤める夫は、8月に入り再び在宅勤務になりましたが、私は変わらず出勤のまま。では、職場の対策は万全かというと、むしろひどくなりつつある。悪い意味で『コロナ慣れ』の状態です」

 埼玉県在住の岡島万里子さん(仮名・30才)は、都内にある大手人材サービス会社のコールセンターに勤務。4月の初め、別の部署ではあったが、同じコールセンター勤務の同僚から新型コロナウイルス感染者が出たという。

「感染者と同じ部署の人たちは全員自宅待機、濃厚接触者とされた人は順番に検査を受け、結果が陰性であってもそこから2週間は経過観察。その上で症状がなければ職務復帰可能、という話でした。私たちも、もしかしたらうつっていないかと恐ろしい気持ちでいっぱい、仕事を休んだり、辞めた人もいました」(岡島さん)

 ゴールデンウィーク明け頃までは、スタッフは戦々恐々としながらもなんとか仕事に励んでいた。そして、お互いの席の間にダンボール製の衝立が設置された。

「上司は、これで安心して仕事ができる、と得意顔でしたが、換気も十分じゃなく、広い一室に100名近くがいるので全然安心できない。でも、みんなだんだんその状況に慣れてきたのか、衝立を超えて話すことも多くなっています。別の上司は、コロナは風邪みたいなもの、みんな若いしコロナになっても大丈夫、と笑っている……。職場の入り口に以前はあった消毒液や除菌シートも、いつの間にか無くなっています。いつ感染爆発が起きてもおかしくない状況です」(岡島さん)

関連キーワード

関連記事

トピックス

三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《中村橋之助が婚約発表》三田寛子が元乃木坂46・能條愛未に伝えた「安心しなさい」の意味…夫・芝翫の不倫報道でも揺るがなかった“家族としての思い”
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
「秋らしいブラウンコーデも素敵」皇后雅子さま、ワントーンコーデに取り入れたのは30年以上ご愛用の「フェラガモのバッグ」
NEWSポストセブン
八田容疑者の祖母がNEWSポストセブンの取材に応じた(『大分県別府市大学生死亡ひき逃げ事件早期解決を願う会』公式Xより)
《別府・ひき逃げ殺人》大分県警が八田與一容疑者を「海底ゴミ引き揚げ」 で“徹底捜査”か、漁港関係者が話す”手がかり発見の可能性”「過去に骨が見つかったのは1回」
訃報が報じられた日テレの菅谷大介アナウンサー
「同僚の体調を気にしてシフトを組んでいた…」日テレ・菅谷大介アナが急死、直近で会話した局関係者が語る仲間への優しい”気遣い”
NEWSポストセブン
愛子さま(撮影/JMPA)
愛子さま、母校の学園祭に“秋の休日スタイル”で参加 出店でカリカリチーズ棒を購入、ラップバトルもご観覧 リラックスされたご様子でリフレッシュタイムを満喫 
女性セブン
悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、筑波大学の学園祭を満喫 ご学友と会場を回り、写真撮影の依頼にも快く応対 深い時間までファミレスでおしゃべりに興じ、自転車で颯爽と帰宅 
女性セブン
クマによる被害が相次いでいる(getty images/「クマダス」より)
「胃の内容物の多くは人肉だった」「(遺体に)餌として喰われた痕跡が確認」十和利山熊襲撃事件、人間の味を覚えた“複数”のツキノワグマが起こした惨劇《本州最悪の被害》
NEWSポストセブン
近年ゲッソリと痩せていた様子がパパラッチされていたジャスティン・ビーバー(Guerin Charles/ABACA/共同通信イメージズ)
《その服どこで買ったの?》衝撃チェンジ姿のジャスティン・ビーバー(31)が“眼球バキバキTシャツ”披露でファン困惑 裁判決着の前後で「ヒゲを剃る」発言も
NEWSポストセブン
2025年10月末、秋田県内のJR線路で寝ていた子グマ。この後、轢かれてペシャンコになってしまった(住民撮影)
《線路で子グマがスヤスヤ…数時間後にペシャンコに》県民が語る熊対策で自衛隊派遣の秋田の“実情”「『命がけでとったクリ』を売る女性も」
NEWSポストセブン
今年の6月に不倫が報じられた錦織圭(AFP時事)
《世界ランキング急落》プロテニス・錦織圭、“下部大会”からの再出発する背景に不倫騒と選手生命の危機
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン