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「人工肺ECMO」45日目の生還 61歳理容師の壮絶告白

体外で血液に酸素を取り込むECMO(時事通信フォト)

「搬送先の病院のベッド脇にバッグを置いた。そこまでは覚えているんだけど、直後から記憶がない。意識が戻ったのは、1か月半後のことでした」

 そう語るのは、人工肺「ECMO(エクモ)」で新型コロナ治療を受けた有村義男さん(61)だ。

 有村さんは都内の理髪店で働く理容師で、一人暮らし。4月下旬に感染し、最初に搬送された感染症協力医療機関・O病院で記憶を失った。その後、6月中旬に意識が戻るまでの間に、ECMO治療を施されていた。

 ECMOは新型コロナ重症患者の“最後の砦”と呼ばれ、今年3月に亡くなったタレント・志村けん氏にも用いられた。

 肺炎などで肺機能が著しく低下した際、人工呼吸器を使用して患者の呼吸を補助するのが一般的だが、それでも体内に酸素を取り入れることができないほど悪化した場合はECMOが用いられる。

 ECMOは体外に装着して肺の働きを代替する装置だ。喉や大腿の静脈から直接チューブを心臓付近まで挿入し、体外に血液を取り出してECMOに流し込む。ECMOが肺に代わって血中に酸素を取り込み、再び全身に血液を送る。その間に患者は自らの肺を休ませ、肺機能を回復させる。

 新型コロナでECMO治療を受けた患者は、日本全国で205人(8月19日時点、「日本COVID-19対策ECMOnet」の統計より)。治療中の20人を除くと、54人が死亡、131人が回復した。有村さんは、その回復患者のひとりだ。ECMO治療に関する情報が少ない中で、「少しでも参考にしてもらえれば」との思いから自身の体験を本誌に語った。

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