芸能

松原智恵子「渡哲也さんの女性への気遣いは紳士そのものだった」

松原智恵子とは若き日を日活で共に過ごした(写真/共同通信社)

 派手を好まず、実直で温厚、そして義理堅い。「男の憧れ」としての生き様を貫いた渡哲也さん(享年78)は、生前、石原軍団を始めとする「男たちとの交友」ばかりがクローズアップされ、女性遍歴がほとんど報じられない希有な俳優だった。

 だが、その実、多くの女優に愛された人生を送っていた。若き日の吉永小百合(75)と恋の噂があったり、大原麗子さん(享年62)からは「おにいさま」と慕われていた。そして、若かりし日の知られざる有名女優との交歓は、数十年の時を経て続いていた──。

 渡の女性への気遣いは紳士そのものだった。日活時代の渡の代表作『無頼』シリーズをはじめ、多くの共演経験がある松原智恵子(75)が振り返る。

「不器用で無骨。でもとっても優しくてね。私を抱き抱えるシーンで『重くてゴメンね』と言うと、小さな声で、『大丈夫です』って。言葉の端々から温かみを感じる人でした。日活入社当時は、セリフを言うだけで体が硬くなる、そんな姿を覚えています。私自身もお芝居を勉強して日活に入ったわけではないので、2人とも撮影所に育てもらいました」

 松原は1987年に石原裕次郎さんが亡くなった時、葬儀で渡にかけられた言葉が忘れられないという。

「『チーコ、ごめんな。裕次郎さんの具合が悪いのに連絡できなくて』と律儀に謝られましてね。本当に義理堅い方なんです」

 渡さんは松原を始めとする“日活同窓会”のメンバーにも、自らの闘病について語ることはほとんどなかったという。

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