「閉会中でも求められれば、政府として説明責任を果たす」
通常国会終了後、そう記者団にタンカを切った安倍首相だが、一度も出席していない。元民主党代議士で政治評論家の木下厚氏が言う。
「国会閉会中は与野党の協議になり、野党が自民党総裁に閉会中審査への出席を要望して、与党が合意すれば安倍首相が出席する必要がありますが、与党が拒否すれば出なくてもいい。安倍首相に批判が集中するのを避けたい与党が野党の要求をのむわけはありません」
これでは、誰が何のために議論をする場かわからないではないか。
与野党のなれ合い
これまでの閉会中審査で与野党の議論は一向に深まっていない。6月24日の衆院経済産業委員会の閉会中審査では、野党議員が前法相の河井克行被告と妻の参院議員・河井案里被告の公職選挙法違反事件を追及した。
だが与党は「新型コロナ対策に絡む質問以外は認められない」と主張して議論を拒否。与党側からは「経産委と関係があるのか」とのヤジが飛び、審議は何度も中断された。
新型コロナに関する議論も同様だ。7月15日の衆院予算委員会の閉会中審査では、西村康稔・経済再生担当相が「大きな流行を収束させた」として、「Go Toトラベル」を予定通り実施する考えを示したが、2日後に東京を対象外に方向転換。その後、政府は野党との議論がかみ合わないまま7月22日に前倒しで実施した。木下氏は、「こうした光景には既視感がある」と指摘する。