志良堂さんはあらゆる人から手帳をゆずり受け、保管している

 おそらくこれは、自らの日記を読み返しているのだと思います。たんに思っているだけでなく、そのときの感情を書いて、その後読み返すという行為は、自分自身に強く作用しているのだと思います」

 児童文学作家で『バッテリー』などの作品で知られるあさのあつこさんは、中学生の頃に日記をつけ始めた。それは通常の日記ではなく、思春期特有のほとばしる妄想をしたためた「フィクション・ダイアリー」だった。

「中学生の頃は、成績や受験、同性の友達や異性のことなどでがんじがらめになるから、現実から少し離れて、ふっと一息つきたかったんです。

 だから日記では現実をそのまま書くのではなく、もし架空の私がいたら…頭がよくてきれいで運動もできて優しいスーパー中学生がいたら、どんなことを経験するだろう、という内容を書いていました。

 めずらしい蝶々を追いかけて、田舎の街にやってきた大学の昆虫学者と高校生の私が恋に落ちるストーリーを覚えています。いまになっては相当恥ずかしいのですが(苦笑)」(あさのさん)

 現実とフィクションを交えた日記は、少女時代のあさのさんに大きな夢を与えた。

「現実と少しずれた日記を書くことで、新しい世界を作れることがわかって、すごく楽しかったですね。私は自分に自信があったわけではないので、もっと素敵な人間になりたい、きれいな女の子になりたいという欲望が、フィクションを書くことで叶えられることを学びました。その快感を覚えてもの書きになりたくなって、高校に入ってからは完全なフィクションを書くようになりました」(あさのさん)

 妄想日記をきっかけに夢を抱いたあさのさんは、初志貫徹して作家デビューした。

関連記事

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン