とはいえ30代からは自力で、というのは芸能界に限ったことではないかもしれない。
「そのとおり。ぼくは特別な道を歩んできたとは思っていません。大人になったら自分のことは自分でしましょうという当たり前なことを実践してきただけなんです。ただし人間の成長の度合いとか速度というのは千差万別。ですから、自立して生きていくことの大切さに気づくタイミングも、人それぞれでいいのかなって思います」
そして今、郷は“黄金の60代”と呼ばれるようになった。
「自分のことを正確に測ることのできる物差しがあったとしたら、正確に測れる時期が10代なのか、20代なのか、それとも30代なのか、40代なのか。ぼくの場合は、体力や気力、経験値、人間力などいろいろなことのバランスがもっとも整うのは60代だろうと仮定して、50代までを生きていたのです。
いいことも悪いことも、60代を輝かせるために必要な心の肥料となると考えて、精進してきたつもりです」