呼吸困難、頭痛など後遺症の組み合わせは多岐にわたる(写真/PIXTA)
アメリカ疾病対策予防管理センター(CDC)が7月末に出した報告書では、新型コロナに感染した人の35%が回復から2~3週間しても元の状態に戻らなかった。また、慢性疾患を持たない18才から34才までの若年層の5人に1人は完全に回復しなかった。
日本はすでに5万5000を超える人が新型コロナから回復したが、その中には後遺症を訴えるケースが少なくない。8月に新型コロナに感染し、都内の病院に1週間入院した40代女性のA子さん。同僚に感染者が出たことと嗅覚の異常を感じ、PCR検査を受けると陽性だった。すでに退院しているが、いまも嗅覚の異常に苦しんでいる。
「生肉や生魚、野菜や調味料のにおいがしなくなりました。以前は遠くからでもわかったペットの便のにおいも、いまは目の前まで近づかないとわかりません。もともとにおいには敏感だったので精神的なショックが大きく、食事が食べられなくなり、夜も寝られなくなって安定剤や睡眠薬をのむようになりました」(A子さん)
A子さんはにおいを感じるものと感じないものをリスト化して、日々の様子を記録している。空いてる時間を見つけて、においの強いケチャップやお酢を嗅ぎ続ける訓練をしているが、嗅覚は戻らない。
医療的なサポートがないことも不安を大きくする。
「近所の耳鼻科では『入院していた病院で診てもらってください』と言われ、入院していた病院では『コロナの後遺症で診るのは肺炎だけ』と言われて診察してもらえませんでした。
いまは都内の別の病院に通院していますが、費用は自己負担。治療に有効だとされる亜鉛や漢方を処方されています。このままでは、キッチンのガス漏れなどの危険な状況を察知できないし、体調が戻らないので仕事に復帰できるかどうかわからない。落ち込むばかりで、自然と涙がこぼれます」(A子さん)
※女性セブン2020年9月17日号