小林:原発事故は他人事だったが、コロナは他人事ではなかった。
中川:特に地方の人のビビりっぷりがすごくて、それが東京差別につながっていた。山梨出身の女性が東京からバスで帰省して、コロナ感染を持ち込んだ事件があって、酷い中傷に晒されていたんですが、「お土産に『東京ばな奈』じゃなくて『東京ころ奈』をもってきやがった」とか書かれていた。
小林:パチンコ店も営業していると、店名出されてつるし上げられたよね。だけど、パチンコ店で客のクラスターなんて1件も報告されてないでしょ。ホストクラブとかキャバクラとかも店名出されて。要するに、職業差別なんですよ。無意識に差別しているのが、こういう非常時になるとブワッと出てくる。パチンコやホストやホステスはいじめていい対象なんだよな。
中川:テレビのコメンテーターはみんな「経済より命が大事」と自粛を強制しますしね。
小林:それは玉川徹(テレビ朝日社員)みたいに一流企業で給料も保証されてテレワークもできる人間だけの話で、それでも現場で働かなければいけない人たちがたくさんいる。だからわしは、あえて「経済のほうが命より重い」と訴えている。
中川:とんかつ屋の店長のように、それで自殺してしまった人も出てきたわけですし。テレビの影響力ってやっぱりすごいですよ。コロナと関係ないのにトイレットペーパーが品不足になったのは、鳥取の生協職員が「品薄になる」とツイートしたのが発端とされていますが、実際にはその後テレビが「トイレットペーパーの行列ができています」と1回報じただけで一気に全国に広まったようです。