先週の札幌でルメール騎手は10回1番人気に騎乗しながら未勝利で2着3回3着1回。また1番人気の勝率が.231に落ち込んだ7月開催では、ルメール騎手が20回、川田騎手が10回、1番人気で敗れている。
騎乗に問題があったということを言っているのではない。トップトレーナーでさえ「レース結果は時の運」と考えている。出遅れや不利など、レースでは想定外のことが起きるもの。1日に何レースも乗りながらこれだけの勝率をあげていることのほうが驚異的だ。
馬柱を見れば、1番人気に推されたのも納得できる馬が多い。若手騎手や「騎乗機会の少ない騎手からの乗り替わりだったりすればなおさらだ。「彼が乗れるなら」と重賞に出走する予定だった馬をオープン特別に挑戦させることもある。1番人気の中には、かなりの数の「ルメールだから」「川田だから」がいるのは間違いない。ルメール騎手の1番人気での勝率は.338。川田騎手にいたっては.407だ。
無観客競馬となる前のネット購入の占有率はすでに70%に達していたが、それでも残りの30%の売上は、前のレース終了とともにパドックに走って10分間ほど張り付き、スタンド前に行ってすべての返し馬を見終わり、何かしらのヒラメキを伴って投票所に走っていたコアなギャンブラーがもたらしたもの。いや、ウインズのモニターや競馬場で馬を見てからネット投票をしている御仁も相当数いたので、オッズへ影響も30%どころではないかもしれない。
今はグリーンチャンネルを見ながらネットで買うしかない。しかしパドックチャンネルでもせいぜい2、3周しか見ることができず、すべての返し馬までは放映しきれないのが現状。テレビ画面とパソコンを前にしている土日が続くと、最終決断としてリーディング上位騎手の騎乗馬から買ってしまうのは致し方ないのかもしれない。
しかしデータを信頼するというならば、その騎手が1番人気で勝てなかった率が決して低くないことにも注目してもいいはずではないかと思うのだ。
●ひがしだ・かずみ/伝説の競馬雑誌「プーサン」などで数々のレポートを発表していた競馬歴40年、一口馬主歴30年、地方馬主歴20年のライター