キャンパス内では登校から下校まで、娘と同じグループに属して過ごす。メンバーはYouTuberの根来恭介(戸塚純貴)、バイト三昧の生活で小比賀家に居候中の衛藤美咲(小野花梨)。見た目バツグンの可愛さの山本寛子(今田美桜)に、さくらの彼氏になった畠山。19歳の中に、41歳のおじさんがひとり。違和感がありそうに見えて、劇中ではこの6人の距離感がどんどん縮んでいる。
その理由は、ガタローが道を踏み外しがちな19歳たちを大人らしく救うからだ。例えば、YouTubeでバズって大金を手にした根来。動画ネタは続かず、一時は擦り寄ってきた人間が300万円を盗んで逃げていった。“意見を直接言うことができない”若者らしく「もういいです。警察にも言わないから」と逃げる。でも小説家として一発屋の経験もあるガタローは、盗んだ相手から金も取り返したうえで、こう怒鳴る。
「てめえら。一発屋バカにすんじゃねえ! 一発も当てたことのねえヤツが五万といるなか、一発当てたんだ。それだけで十分すげえじゃねえか!!(中略)一発も当てたことのないゼロが、簡単に人をバカにしてんじゃねえ」
昭和生まれのおじさんにとっては普通の行動が、平成生まれには感動となる。そしてちょっと変なおじさんに、だんだん心が溶けていく。
年下の友達から教わる、イマドキ言葉
スマホやPCの画面など、一枚のフィルターを通せば何でも言える若者たちは、面と向かっては何も言えなくなってしまう。ガタローはそんな人たちの代弁者。そしてさくらの推測では、仲間の前だからと格好よく見せておきながら、全ては自分に向けた鼓舞だという。お互いの存在がきちんと作用して、役立っているというわけだ。
また逆にガタローが年下の友達から教わることもある。レベチ、萎え、誰得……と次から次へと会話に出てくる“若者言葉”を教えてもらっている。日常生活でもたまに無理をして若者言葉を使って自爆している中年をSNSなどで見かける。素直に頭を下げて教えてもらえばいいのに、と思ってしまう。ちなみにガタローは、同級生から教えてもらったおかげで、第5話ではワンチャンが使えるようになっていた。