ベトナム、ハノイのマーケットに並ぶ様々なキャラクターを模した中秋節の米粉菓子。ドラえもんはベトナムでも人気(AFP=時事)

ベトナム、ハノイのマーケットに並ぶ中秋節の米粉菓子。ドラえもんやキティちゃんの姿も見える(AFP=時事)

おじさんの家に行こうって言われました、怖い

 細かい部分は英語で補ってもらうことにしたが、ホアさんいわく、その男は50歳とか60歳くらい(日本人は若く見えるのでわからないとのこと)でお爺ちゃんという感じではない。レジに来ては「釣りの渡し方が駄目」「挨拶がなってない」「スプーンが違う」と、ホアさんの接客にダメ出しをしたという。ホアさんも日本に来て間もなく、また相手が目上ということもあって素直に笑顔で「ごめんなさい、ありがとう」と応じていたがやがてエスカレート、「日本のことを教えてあげよう」「日本語を教えてあげよう」とあれこれちょっかいを出してくるようになった。まだ擦れていないホアさんはこれも最初のうちは簡単な単語をフランクに交わしたりと接客のタイミング内で応対していたが、ついには日本文化を教えてあげると秋葉原に誘われたり、「いつ店は終わるの?」と聞かれるようになった。親切なおじさんなんだろうと思っていたホアさんもさすがに気味が悪くなった。

「おじさんの家に行こう、日本のアニメ見ようって言われました、怖い」

 ついには帰宅途中、待ち伏せされて家に誘われたホアさんは走って逃げたという。そしてこれを機に、「お前のために言っている」とあれこれ難癖つけるクレーマーと化した。アニメを持ちかけられたのはホアさんがつい日本アニメが好きと言ってしまったこと、ちょっと作品の話をしたからだろう。おじさんは話を合わせたか、もしくは古参のオタクかもしれない。ちなみにホアさんに投げかけられた誘いの言葉、文中では「日本のアニメ」としているが男が言った作品名をホアさんが覚えていたので実際は明確である。有名なロボットアニメなのだが仮に60歳だとしてもファースト世代でありおかしくはない。それでも異国で見知らぬ客のおっさんが俺の部屋でアニメ鑑賞をしようと誘ってくるわけで、微笑ましい文化交流というより単なるホラーである。しかしホアさん、そういうのは勘弁だがクレームに関しては仕方ないという。

「日本でお客さまは神さまです。日本では仕方ないです」

 日本の文化をよく知っているホアさん、彼女なりに順応しているが、こうなると「おもてなし」文化もかわいそうでしかない。

「でも、クレームより困ることされました」

 ホアさんは困った顔で言葉に詰まる。綺麗な黒目を左右に散らせて、より小声にしてうつむき加減にこぼす。

「悪い本でいじめします。あれ困ります」

関連記事

トピックス

ニューヨークのイベントでパンツレスファッションで現れたリサ(時事通信フォト)
《マネはお勧めできない》“パンツレス”ファッションがSNSで物議…スタイル抜群の海外セレブらが見せるスタイルに困惑「公序良俗を考えると難しいかと」
NEWSポストセブン
中国でライブをおこなった歌手・BENI(Instagramより)
《歌手・BENI(39)の中国公演が無事に開催されたワケ》浜崎あゆみ、大槻マキ…中国側の“日本のエンタメ弾圧”相次ぐなかでなぜ「地域によって違いがある」
NEWSポストセブン
韓国・漢拏山国立公園を訪れいてた中黒人観光客のマナーに批判が殺到した(漢拏山国立公園のHPより)
《スタバで焼酎&チキンも物議》中国人観光客が韓国の世界遺産で排泄行為…“衝撃の写真”が拡散 専門家は衛生文化の影響を指摘「IKEAのゴミ箱でする姿も見ました」
NEWSポストセブン
 チャリティー上映会に天皇皇后両陛下の長女・愛子さまが出席された(2025年11月27日、撮影/JMPA)
《板垣李光人と同級生トークも》愛子さま、アニメ映画『ペリリュー』上映会に グレーのセットアップでメンズライクコーデで魅せた
NEWSポストセブン
リ・グァンホ容疑者
《拷問動画で主犯格逮捕》“闇バイト”をした韓国の大学生が拷問でショック死「電気ショックや殴打」「全身がアザだらけで真っ黒に」…リ・グァンホ容疑者の“壮絶犯罪手口”
NEWSポストセブン
渡邊渚アナのエッセイ連載『ひたむきに咲く』
「世界から『日本は男性の性欲に甘い国』と言われている」 渡邊渚さんが「日本で多発する性的搾取」について思うこと
NEWSポストセブン
“ミヤコレ”の愛称で親しまれる都プロにスキャンダル報道(gettyimages)
《顔を伏せて恥ずかしそうに…》“コーチの股間タッチ”報道で謝罪の都玲華(21)、「サバい〜」SNSに投稿していた親密ショット…「両親を悲しませることはできない」原点に立ち返る“親子二人三脚の日々”
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
「山健組組長がヒットマンに」「ケーキ片手に発砲」「ラーメン店店主銃撃」公判がまったく進まない“重大事件の現在”《山口組分裂抗争終結後に残された謎》
NEWSポストセブン
ガーリーなファッションに注目が集まっている秋篠宮妃の紀子さま(時事通信フォト)
《ただの女性アナファッションではない》紀子さま「アラ還でもハート柄」の“技あり”ガーリースーツの着こなし、若き日は“ナマズの婚約指輪”のオーダーしたオシャレ上級者
NEWSポストセブン
世界中でセレブら感度の高い人たちに流行中のアスレジャーファッション(左・日本のアスレジャーブランド「RUELLE」のInstagramより、右・Backgrid/アフロ)
《広瀬すずもピッタリスパッツを普段着で…》「カタチが見える服」と賛否両論の“アスレジャー”が日本でも流行の兆し、専門家は「新しいラグジュアリーという捉え方も」と解説
NEWSポストセブン
子宮体がんだったことを明かしたタレントの山瀬まみ
《“もう言葉を話すことはない”と医師が宣告》山瀬まみ「子宮体がん」「脳梗塞」からの復帰を支えた俳優・中上雅巳との夫婦同伴姿
NEWSポストセブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(画像は日本のアスレジャーブランド、RUELLEのInstagramより)
《ぴったりレギンスで街歩き》外国人旅行者の“アスレジャー”ファッションに注意喚起〈多くの国では日常着として定着しているが、日本はそうではない〉
NEWSポストセブン