国内

ベトナム人女子留学生がバイト先のコンビニで感じた身の危険

コンビニでは多くの外国人留学生が働いている

コンビニでは多くの外国人留学生が働いている

 この数年、様々な場所のハラスメントが可視化され、「良くないこと」として止めるように求められてきたが、実際には、被害にあっている人が場所を追われることのほうが多い。とくに「お客様は神様です」が行きすぎていると指摘されることもある接客の現場では、カスタマーハラスメントに泣き寝入りさせられることが少なくない。俳人で著作家の日野百草氏が、今回は、「アニメおじさん」のためにコンビニで働くのをやめたベトナムからの女子留学生についてレポートする。

 * * *
「おじさん怖い。私もう会いたくないです」

 ベトナム人の女子留学生、ホアさん(仮名・20代)は小さな肩を震わせる。とても愛らしい女性で、本当は別の名前だが、ここは仮名でホア(ベトナム語で”花”の意味)さんとする。ベトナムの女の子は花の名前や季節(たとえばシュアン・春)などの名前が多い。ホアさんは日本で言うなら花子さんだ。ホアさんと仮名にするのは特定がどうこう以上に、身の危険があるためである。

「怖い人、アニメおじさん、いつも来ました」

 身の危険の原因はホアさんがかつて勤めていたアルバイト先のコンビニに来ていた男である。ホアさんが「アニメおじさん」と呼ぶ理由は後述する。ホアさんは彼の恐ろしさにコンビニを辞めたが、いまも怖がっている。

 ホアさん、まだ日本語学校に通い始めて1年ほどだが、日本のアニメや漫画が好きだったので多少は覚えたという。とくに『君の名は。』はベトナムの映画館で見て感動したそうだ。純愛ものが好きとのことで、『聲の形』や『天気の子』なども劇場で観たという。ベトナムは健全な作品という条件に限れば日本のアニメをたいてい観ることができる。とくに『ドラえもん』などはベトナムでも国民的アニメだし、『美少女戦士セーラームーン』もベトナムの少女には懐かしい作品だ。

「おじさん、優しいけど怒る、話長いの迷惑。仕事中なのに」

 そんなホアさんが憧れの日本に来て、勤め先で遭遇した男はいわゆる「クレーマー客」と呼ばれる人種だった。ホアさんは怖がっていても「おじさん」と丁寧に呼ぶ。ベトナムの英雄、ホー・チ・ミンの愛称「ホーおじさん」と同じように。ベトナムは年功序列、上下関係が徹底していてベトナム語でも男性女性、目上目下どころか年齢、性別によって人称代名詞も事細かに変わる。普通の女の子ならまず目上をぞんざいな言葉で呼んだりしない。

「ホアのため、ホアのため、って怒ります」

「アニメおじさん」とはなかなかキャッチーだが、ホアさんいわく、日本で言うところの中高年がアニメ好きというのはベトナムでは珍しいから素直に呼んでいるだけで悪意はないようだ。

関連記事

トピックス

割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
3年前に離婚していた穴井夕子とプロゴルァーの横田真一選手(Instagram/時事通信フォト)
《ゴルフ・横田真一プロと2年前に離婚》穴井夕子が明かしていた「夫婦ゲンカ中の夫への不満」と“家庭内別居”
NEWSポストセブン
二刀流かDHか、先発かリリーフか?
【大谷翔平のWBCでの“起用法”どれが正解か?】安全策なら「日本ラウンド出場せず、決勝ラウンドのみDHで出場」、WBCが「オープン戦での調整登板の代わり」になる可能性も
週刊ポスト
高市首相の発言で中国がエスカレート(時事通信フォト)
【中国軍機がレーダー照射も】高市発言で中国がエスカレート アメリカのスタンスは? 「曖昧戦略は終焉」「日米台で連携強化」の指摘も
NEWSポストセブン
テレビ復帰は困難との見方も強い国分太一(時事通信フォト)
元TOKIO・国分太一、地上波復帰は困難でもキャンプ趣味を活かしてYouTubeで復帰するシナリオも 「参戦すればキャンプYouTuberの人気の構図が一変する可能性」
週刊ポスト
世代交代へ(元横綱・大乃国)
《熾烈な相撲協会理事選》元横綱・大乃国の芝田山親方が勇退で八角理事長“一強体制”へ 2年先を見据えた次期理事長をめぐる争いも激化へ
週刊ポスト
2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン