『半沢直樹』の大和田取締役は名言も多い(GettyImages/共同通信社)
いい人のイメージを覆した
『半沢直樹』はドラマファンの間で「現代版時代劇」とも評されるが、古くから時代劇に悪役は欠かせない。
「なんといっても何度もドラマ化されてきた『忠臣蔵』の吉良上野介でしょう。特に1982年のNHK大河ドラマ『峠の群像』の吉良(伊丹十三)は見事でした」
そう話すのは、芸能リポーターの石川敏男氏だ。
朝廷勅使の接待役を命じられた浅野内匠頭(隆大介)が、藩財政が火の車の中、必死で費用を工面して準備を整えたところで、吉良が『なぜこのような地味なものを』と一喝する場面をはじめ、伊丹の悪人演技が光った。
「伊丹さんの冷淡ないびりぶりに、視聴者は毎回腸が煮えくりかえったはず。あの目つき、嫌味たらしい言動、憎々しさでは歴代最高でしょう」(石川氏)
1970~1980年代には社会派ドラマも脚光を浴びた。
その金字塔ともいえる『白い巨塔』(1978年・フジテレビ系)は、主役の財前五郎(田宮二郎)自らが悪役という設定が強烈なインパクトを残した。
天才外科医・財前は、出世のためには手段を選ばないダークヒーローとして描かれている。
「財前とは対照的な里見(山本學)と対立するシーンで財前が『教授になるためだったら人殺しだってする』と鋭い眼光で言い放った場面は、鬼気迫るものがあった」(同前)