マザコン冬彦さん

マザコン・冬彦さんは強烈だった(時事通信フォト)

 1990年代に社会現象を巻き起こした悪役といえば、(1992年・TBS系)の冬彦さん(佐野史郎)だろう。

 主人公の美和(賀来千香子)はエリート銀行マンの桂田冬彦と結婚。しかし、七三分けに銀縁メガネの冬彦は、とんでもないマザコンだった。

 結婚後、一度もセックスしようとしない冬彦。ある夜、美和が意を決して冬彦のベッドに入ろうとするも、「疲れてる、おやすみ」といって寝ようとする。

「美和が思わず『普通の夫婦なら愛し合うのが当然でしょ』と言うと、冬彦は『淫乱』となじる。その後、大切にしていた蝶の標本をメスで切り刻むシーンには、背筋が寒くなりました」(石川氏)

 SMクラブに連れていかれてハマッてしまった冬彦が「君に喜んでもらおうと思って」と、SMビデオを見せ、レザーの拘束衣とハイヒールを渡すなど、衝撃的なシーンが毎回のように展開。

「美和が離婚を決意するのも当然ですが、冬彦本人に悪気はなくて、とにかく一途。だからこそ余計に怖かった」(同前)

 また1990年代には野島伸司脚本のドラマが印象に残る悪役を生み出した。

『高校教師』(1993年・TBS系)で、教え子をレイプしたうえビデオを隠し撮りした、英語教師の藤村知樹(京本政樹)。

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