1980年代の社会派ドラマに登場する悪役として、コラムニストの吉田潮氏が挙げるのは、『少女に何が起ったか』(1985年・TBS系)の川村刑事(石立鉄男)だ。
川村刑事は、使用人として働きながらピアニストを目指す主人公の野川雪(小泉今日子)に執拗な嫌がらせをする。
「いつも深夜12時に現われては、『お前は薄汚ねえシンデレラだ!』などとキョンキョンを罵倒するイヤミな役。
最後には雪と和解しますが、人格否定にセクハラ、言葉の暴力と、生理的嫌悪を催すほどの名悪役ぶりでした。石立は『パパと呼ばないで』(1972年・日本テレビ系)などで築いてきたコミカルな“いい人”のイメージを、この役で見事に覆しました」(吉田氏)